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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 64

「そうか、じゃあますます竜の涙を取り戻さなくちゃならないな」
真は表情を引き締め、セドナの肩を掴んだ。胸から引き剥がしつつ起き上がる。そして真摯な瞳でセドナを見つめた。
「真さん?」
「セドナちゃん、おれが絶対君を元に戻してみせる。約束する」
「は、はい」
真の迫力に圧され、セドナはオドオドしながらも頷いた。
「うっし! その意気だ真!」
「げほっ、なにすんだよ荒!」
いきなり背中を叩かれて真は噎せた。
「好きな女のために命を張る、そういうの結構好きだぞ」
「え、そりゃまあ当然じゃないか?」
『ほほ〜ぅ』
真のそのセリフを聞いた途端、荒とワルド、そして澪が意地の悪い笑みを浮かべた。
「否定しないよ〜!」
「なにげに言っちまったな」
「若いな主」
二人と一匹にからかわれどんどん顔を赤くする真とセドナ。
そして残ったアルバとトリトンは複雑な表情をしていた。
「娘はやらん、とはもう言えんか。いや、元からそんな資格は無かったのかもしれん。だがこれだけは言わせてくれ、娘を頼む」
「はい!」
表情を引き締めて頷く真。そんな彼をトリトンは眩しそうに目を細めて見つめた。


少数の深きものどもしか残っていなかった村は、早苗とカリンの前にたった2時間で陥落した。
真たちは生き残りの人魚たちを引き連れて村に戻り、すぐに準備に取り掛かる。
そんな中、半端な記憶しか持たないセドナが数々の珍事を巻き起こした。たとえば澪の家を自分の家と思い込んだり、なにもかも新鮮な光景にはしゃぎ過ぎて桟橋をぶち抜きそのまま海に落ちたり、アルバをいじったり。早苗にありもしない事を吹き込まれてからかわれるという事もあった。
そうこうしている内に半日の時が過ぎ、全ての準備が整った。
真、ワルド、セドナ、荒、早苗、そしてカリンは人魚の里所有の小型ジェットに乗り込んだ。パイロットは早苗である。
「皆さん、準備はよろしいですか?」
「大丈夫だ」
「問題無い」
「無いでーす」
早苗の操縦に根拠の無く信頼している真とワルド、そしてひとり状況のわかっていないセドナは落ち着いていた。一方……。
「あ、安全操縦で頼むぞ?」
「……(コクコク)」
いまいち信じられない荒は顔を引き攣らせ、カリンは泣きが入っていた。
荒とカリンが命の危機を感じているとはつゆしらず、アクセルは崖の上で携帯をかけていた
「…まぁなんとか、死なないかって?約束はできないな〜」
雑談のように笑う
「で?『シキミ』に連絡はついた?マジで!?スッゲ!!俺なんて着信拒否されてんのに…え?シキミ携帯持ってない?ウッソ〜ん。じゃあ俺のこの番号は?」
そんな事をだべっていると遠くから飛行機が飛び立つ音が聞こえた
「お、時間だ。じゃあまた、生きてたら土産でも持ってそっちに出張るわ」
そう言うと一方的に携帯を切った

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