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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 62

「あ……」
真はすっかり忘れていたが彼はもともと敵だったのだ。行動をともにする上で不都合が生じる可能性は高い。
「というわけで」
「待って」
立ち去ろうとするアクセルに早苗がメモを渡した。
「ここに集合、着いたら連絡して……」
「オーケー、んじゃな」
アクセルは手をヒラヒラ振りながら立ち去って行った。
「こっちも戻るぞ。嬢ちゃんやワルドを休ませないとな」
「うん」


「そうですか、秘宝は奪われましたか」
報告を聞いたトリトンは深いため息を吐いた。
「すみません。おれが不甲斐ないばかりに……」
「いや……」
トリトンは真を弁護する発言を咄嗟に引っ込めた。意味は無いし、そんな事を言っている暇などないのだから。
「今は一刻も早く秘宝を取り戻さないとな」
荒の言うことは至極尤もだった。だが問題がひとつ。
「ああ、あいつらがどこに行ったのか探さないと!」
「その必要はありません」
真の言葉を遮ったのは早苗だった。
「彼らの行き先は決まっています」
「そうだな。海に出たなら行き着く場所は一つだ」
「ニュージーランド沖、西経126度、南緯47度」
真はトリトンの広げた世界地図を見た。早苗の言った座標はニュージーランドの遥か東に位置している。
「海の真上じゃないか」
見たところ、その場所は海があるだけで島のひとつも見当たらない。
見兼ねた荒が説明する。
「海は海でも底に大問題があるんだ」
「海底に?」
「その場所にはな。かつてクトゥルーが支配していた古代都市ルルイエが沈んでるんだよ」
「それだけではありません」
早苗が割り込んできた。
「ルルイエの神殿にはクトゥルーが眠っています。そんな場所で竜の涙を使ったら、どうなるかお解り?」
答えはただひとつ、最悪の結果だ。
「クトゥルーが、復活する」
「そしてルルイエは浮上、神気を撒き散らし、世界中の人間が発狂する。世界は終わりだ」
もはや一刻の予断も許さない事態になっていた。だが今から追いかけても追いつけるとは思えない。
(だったら……!)
「先回りしよう。行き先はわかってるんだ」
「発想の転換ですわね。良いでしょうそれで行きます」
「いいけどよ、間に合うのか?」
「長、飛行機はこちらには……?」
「ここから村を挟んで反対側に飛行場がある。そこだ。だがしかしパイロットがな……」
その口ぶりから察するにパイロットは先の襲撃で犠牲になってしまったのだろう。だが真はそんな心配はしていなかった。
「いけるだろ、早苗?」
「問題ありませんわ」
「どういうことだ?」
「早苗が操縦するってこと」
「なっ!」
荒は驚いて咥えタバコを落とした。

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