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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 59

今までのアクセルとは全く違う、厳正さを漂わせたその雰囲気は胸の十字架を持つに相応しい。
だが真はそれに圧される事無く軽々といなし、傷ついた身体に鞭打って立ち上がった。
「そんな事よりもセドナだ、助けないと」
「無駄よ、ここにいるし……」
「はい?」
早苗が親指で指した先には洞窟の壁にもたれかかったセドナがいた。
「俺が助けた。こいつでな」
言ってアクセルは袖口から蛇を出した。バンカーファング、一度見たことがあった。
「な、なんで先に言わなかったんだよ!」
『聞かれなかったから』
アクセルと早苗は声を揃えて言った。
脱力する真を半ば無視して荒が話を戻す。
「どうする真、嬢ちゃんのことで借りがひとつあることになるぞ?」
「うっ……わ、わかったよ。協力する」
「そっか、んじゃよろしく」
途端軽薄な雰囲気に戻るアクセル。真は騙された気になりながらも差し出された手を握った。
「話が纏まったところで行くとするかい」
荒はタバコを踏み消す。
「ワルドはダメだな。ここにおいて行くか」
ワルドは消耗が祟ってまだ気を失ったままだった。置いていくしかない。セドナも同様だ。
「カリンはここでセドナたちを見てて……」
早苗はかたわらの少女に英語で話しかけた。少女はコクンと頷く。
「あれ、その子は?」
「……手懐けた」
「おいおい」
早苗はカリンが日本語を理解できないのをいいことにトンでもない暴言を吐いた。
「漫才やってないで行こうぜ。こっちだ」
アクセルが先立って走り出す。真たちも続いた。
 
「っとと…これ飲んどいて」
走りながらアクセルが栄養剤のような小ビンを投げた
ちなみにラベルには爽やかヨーグルト味と書いてある
「うわっと、これは…?」
「『神丹酒』(ソーマ)だ。一時的だが能力が底上げされる。これでまぁクトゥルー召喚されても瞬殺は免れられるかな?」
パキッと音を立てフタを開けると一気に飲み干すアクセル
「へーすごいな…でもこのラベルはどうかと思う…」
飲み干した真がラベルを眺め呟いた
「それ、俺がデザインしたんだけどな〜」
「……あ、そう」
返事と同時に外へ出た
「んじゃ作戦話すぞ」
真面目な顔のアクセルに真も真剣な眼差しを向ける
「クトゥルー召喚される前に儀式を潰す。これだけ」
盛大に転んだ
「んなことは始めっからわかってんの!!」
真が叫ぶ
「あら、そう?」
と、その時辺り一帯を埋め尽すかのように『深きもの』が召喚された
「…儀式が始まったようだ、じゃあ作戦。真達一行はアジトに侵入してユリウス、もしくは魔術書、秘宝の破壊をしてくれ」
「アクセルは?」
「俺はもしクトゥルーが召喚された時の為に外にいる」

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