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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 6

手には、でっかい銃。そして銃口はこちらを向いていた。
殺気!?
「ふせろっ!!」
おれは咄嗟に叫び、同時にセドナちゃんを胸に抱え込んで床に倒れた。
直後、嵐のような銃撃が車内に浴びせられた。
ガラスが割れ、座席が壊れる。そして銃弾の餌食になったほかの乗客が倒れ、脳漿を飛び散らし、血をぶち撒けた。
叫んだタイミングがギリギリだったのと言葉が日本語だったのが命取りだったみたいだ。
銃撃が止んだ。
おれはすぐに立上がり、車内を見渡す。目に入って来たのは地獄だった。若者も老人も子供もみんな死んでいた。
理不尽な暴挙。
はらわたが煮えくり返るような怒りが込み上げる。助けられなかった自分に、躊躇無く殺した敵に。
「うあああぁっ!!」
無意識に抜いた銃を敵に向け、怒りに任せて引き金を引いた。反動で腕に負担が掛かるにも構わず撃ちまくった。弾が尽きるまで。
発砲された弾は魔術によって全弾、敵に命中する。しかし鎧の硬い装甲は弾を弾いた。
「くそっ」
「馬鹿者!」
リロードしてもう一度撃とうとしたおれの顔面に、ワルドが頭突きをぶち当てた。
「〜〜〜〜!」
不意打ちから来る激痛に蹲る。あいつマジでやりやがったな。
「冷静になれ。あれには攻撃は効かぬ」
「どういうことだよ!?」
「あれには生き物の臭いがしない。恐らく人形だろう」
「人形……まさかドールマスターか!?」
おれの考えにワルドは満足そうに頷いた。
ドールマスターとは、おれに似たタイプの魔術師で、その名の通り遠距離から人形を操って戦う鬼児だ。
つまりおれ達と同類。そこにおれは疑問を感じた。
「セドナちゃん。おれらの相手って化け物供だけじゃないのか?」
セドナちゃんは言いにくそうに答えた。
「実はそうじゃないんです。敵は【深きものども】に加えて私たちの同類、つまり魔術師や闘士も混じっているんです。真さん達を頼ったのはむしろそちらに対応する為だったんです」
「ふむ……恐らく邪神崇拝者が関わっているのだろうな。だが今はこんな事を話している暇は無い。なんとかこの場を打開せねば……」
尤もだ。
おれは状況を考えてなかったことを反省した。
「で、具体的にはどうする? 軽く状況整理するか?」
「いや、そんな時間は無い。バカ主が無闇に発砲してくれたからな」
うっ………密かに反省したあとに痛いとこを突いてきやがるな。
「しかし不完全ながら作戦はある。手短に話そう」
「真さん、もう勝手なことはしないで下さいね」
セドナちゃんまでそういうこと言いますかっ!?

作戦会議はものの二分で終わった。その間、おれ達は第二の銃撃がこないかハラハラしたが、とうとうそれは無かった。
敵はよほど慎重な奴らしい。おれの銃撃でこっちの生存が確認できたのに、まったく追撃して来なかったのだから。

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