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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 49

 
「あぁぁ!!」
突然マリオンの体に強い痛みが走った
「どう?私の魔法。『イメージ』を直接脳に与える魔法。残念ながら外傷を与えられないけど…」
そう言いながらマリオンに様々な苦痛のイメージを与える
「うぅ……」
自分が感じたことのない強い痛みからかマリオンはすぐに気を失ってしまう
「あらら、やりすぎちゃったかしら」
クスクス笑いながらマリオンを見下ろす
「マリオン…」
倒れたマリオンに陸が一瞬気を取られた
「隙あり!!」
その刹那、カークウッドの騎士剣が陸に叩き込まれ派手に吹き飛び近くにあった岩に激突した
「ナイス、カークウッド」
「ふん。口ほどにも無い」
そう言い騎士剣を収めようとした時だった
二人をまるで極地のような冷たい空気が包みこんだ
「これは…」
剣を構え陸が激突した岩の方角を見る
「居ない!?」
瞬間第六感のようなものが働きガードをするがなにかが騎士剣ごとカークウッドをはね飛ばした
「何だ…?」
なんとか着地をし体勢を整えたカークウッドの前には陸がいた
だが先程の人を喰ったような雰囲気はまったくなくあるのは冷たい虚無のような空気
「楽しく無い」
陸が一言呟いた
「楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い楽しく無い……」
両手をダラリと下げうなだれた陸が壊れたラジカセのように言葉を繰り返す
「まったくもって楽しく無い…楽しく無いなら殺せばいい。そうだそうしよう」
そう言うとクックック……と笑い始める
言動だけならカークウッド達もただ気が触れたと考えるが放っている空気が尋常ではない
「(あの小僧、なにを……)」
剣を握り考えていたカークウッドに呼び声が聞こえた
「あぶない!!カークウッド!!」
その時カークウッドの目には其れこそ『人外』としか表現出来ないようなものだった
陸の周りを蒼い魔力のようなものが包みペンギンを形作っている
そしてそれを纏う陸の表情は怒りと笑顔が混ざったような、まるで矛盾が共存したかのようなものであった
「壱」
陸の呟きが耳に届くと同時にカークウッドが吹っ飛ぶ
「弐」
瞬間地面から氷柱が現れカークウッドが激突する
「参」
陸が手を伸ばすとその手を包みこんでいた魔力が氷柱ごとカークウッドを握り、引き寄せた
「死」
逆の手を包んでいた魔力が膨れ上がった
 


「あ…あぁ…」
目の前の惨劇
相方を殺された恐怖よりもそれを心の底から『楽しんで』いる存在に対し明らかな恐怖を浮かべる
「まだあんまり楽しくない…」
「ひっ…」
カークウッド『だった』肉塊を更にもて遊びなからそう呟いた陸に思わず小さな悲鳴を上げてしまう
悲鳴に気付き視線を移す
そして凄惨な笑みを浮かべる
「なんだ…まだいた」



しばらくしてマリオンが目を覚ました
「おはよう。マリオン」
「りく〜?なにか良いことあったの?」
おんぶされているマリオンが聞く
「なんで?」
「なんだか楽しそうだから」

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