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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 48

静かな部屋にはやがて押し殺した笑い声が響いた。
「そうか、君は死んだのかエリザ。なら、私にはもう……」
震える手が水神クタアトを抱えて力を込める。
「私たちの望みを叶える事しか残されていない」
涙が床に落ちる。しかしその顔は壊れたように笑っていた。
「もう、こうするしか……」


真たちは海岸線沿いの道を歩いていた。
先頭はワルド、彼は道に残されたセドナの匂いを辿って皆を先導している。
しばらく歩いて、一同は足を止めた。道の先に立ちふさがった人物が居たからだ。
「2人か」
断平を抜きながら、荒は呟いた。他の面々もそれぞれ武器を取り出す。
そして敵のうちの1人、大柄な男が腰の剣を抜いて言った。
「俺の名はカークウッド。神殺しの鬼児どもよ、正々堂々勝負だ!」
「うわぁ、暑苦しいのが出てきたなぁ」
「うんうん」
陸とマリオンの素直コンビが率直な感想を漏らした。
「騎士のようですわね。それから後ろの女は魔術師」
早苗が冷静に的戦力を分析する。
「どうする? なんかあからさま過ぎないか?」
「主の言うとおりだ、間違いなく何かある」
奇襲をするでもなく堂々と待ち構える。これではアジトがこの先にあると教えるようなものだ。
罠か、それとも敵は焦っているのか。考えあぐねる。

「まぁまぁマコっちゃんあんま深く考え過ぎるとハゲるよ」
そう言うと陸が一歩踏み出した
「あんま時間もないんだからさぁ〜スマートに行こうよスマートに」
武器を構え対立している間で屈伸伸脚をする陸
「よっほっ、破ぁ!!」
と、突然陸がカークウッドに回し蹴りを放った
的確に顔面を捉えた蹴りだったが騎士剣により受け止められる
「マリオ〜ン」
「わかってる〜」
阿吽の呼吸でマリオンが後ろにいた女の魔術師を殴り飛ばす
「ゴー、マコっちゃん」
陸の行動を先読みしていたのか真達のダッシュは速かった
「大丈夫か?陸」
「まぁ死にはしないよ」
すれちがい様にそう言葉を交す
「それよりこれを、アジトの中の鍵だから」
真に氷で出来た鍵を投げるとカークウッドに向き合った
「仲間を逃がす為に自分が犠牲になるか」
カークウッドの言葉に陸が笑う
「犠牲?そんな大層なものになるつもりは全然ないし」
そう言うと陸が冷気を纏う
「それより自分の心配したら?」
「ふん」
騎士剣を構えると陸と向かい合った
「ぬあぁぁっ!」
カークウッドが気合いとともに騎士剣を振り降ろすと、剣風が衝撃波となって奔った。
陸は氷の楯でガードしたが、楯は深く抉れた。
「おっかないなぁ」
「無駄口を叩く暇は無いぞ!」
二度目の衝撃波。陸は横に跳んで躱す。
「りく!」
マリオンが助けに入ろうと駆ける。しかし突然白い霧が視界を遮った。
「んふふ、掴まえた」
耳元で女が囁く。
慌ててその場を飛び退いたが誰もいない。
「さっきはよくも殴ってくれたわね。もう痛くて痛くて、悲しいわ。んふふふ」
哄笑が響き渡る。声の方向が分からない。

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