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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 45


真はワルドの上から銃を乱射した。まわりは深きものどもだらけ、適当に撃ってもまず外れない。
「我雷牙雷母の威声を以って五行六甲の兵を成す……発雷!」
荒の魔術が深きものどもを焼く。
そこにダゴンの岩のような拳が落ちてきた。あんなものに潰されればぺしゃんこだ。
「げ」
「マリオン、フォローお願い」
「うん」
マリオンが疾り、ダゴンの拳の下から荒を引っ張り出す。
拳は深きものどもを潰しただけに止まった。
「拉致があかねぇな。どうにかアレから片付けられないのか……」
「う〜ん、せめて動きを止められれば……」
その時、高空から早苗が降りてきてダゴンの周りを旋回した。
「あいつ……気が利くじゃないか!」
何かに気付いた真が仲間を見渡す。
「みんな、深きものどもは出来るだけ無視してダゴンを攻撃しよう。しばらく時間を稼ぐ!」
真の言葉を聞いていたのか荒が風向きを計るかのように指を上に出した
「・・・風の精霊のお陰か大気の調子がいいな、これなら太陰出てても申し分なく『あれ』が撃てそうだ・・・」
そう言うと同時に荒の背中から御鷹の翼が飛び出す
「真、ちょっち頑張って大技出すから巻き込まれないように気を付けとけよ」
「は!?荒お前なにする気だ!!」
「まぁ見とけ!!」
翼を羽ばたかせ空中に舞い上がる
「『悪邪斬断万精駆滅・雷意雷導便達人』!!」
激しく放電しながら翼を大きく広げる
「『亡宿発破両儀朗々』!!」
瞬間、荒の体を放電膜が包み込む
「行くぜぇぇぇ!!」
その言葉より速く、音と同じかそれ以上のスピードで天に向かい翔ぶ
空中に放電膜の発光による光の軌道が浮かぶ
あまりのスピードに制御が難しいのかその軌道は幾何学の紋様を描いているかのように見える
「来た!!みんな離れろ!!」
真の叫びが届くが早いかダゴンに向かい真っ直ぐ荒が突っ込んできた
「『震雷発破』ぁぁぁ!!」
荒とダゴンが激突した瞬間限界まで高まった雷が大爆発を引き起こした
「うわぁぁぁ!!」
爆発の余波の突風に翻弄されながらも体勢を立て直しダゴンに向かう真
「チィィ、流石堕ちたとはいえ神族か、これじゃ仕留めきれねぇようだな」
翼を広げ段平を構えた荒が忌々しげに叫んだ
だが致命傷にはなっていないとはいえダゴンの体の半分以上を雷による火傷が覆っている
「十分さ。早苗!」
ダゴンにダメージを与えられたとみた真は空の早苗に声を張った。彼女はエリザとの追いかけっこの最中でまるで無反応だったが、きっと聞こえている。
「頼むぜ!」
「シルフ!」
早苗は傍らの風精霊に指令を送った。シルフはクスリと笑い、エリザのほうを向く。そして掌を向けて風圧の衝撃波を放った。まともに受けたエリザは再び吹っ飛ばされた。それも一発ではない。連続で放たれた衝撃波を全て喰らい、かなりの距離を飛んだ。
エリザが離れた事を確認した早苗はダゴンの真上に飛ぶ。そして空中で静止した。アゾット剣を逆手に持ち、左手を柄尻の宝玉に添えて構える。
「無から点は生じ、点は連なり線に、線は交わり面に、面は重なり空間に。囲われしは我が領域、侵せし者は不届きなり……」
光で描かれた魔方陣がダゴンの頭上に出現する。
早苗はエリザとの追いかけっこに見せかけて、空中にこの魔法陣を描いていた。
「不届き者に不可視の束縛を与えよ!」
魔方陣が一際強く輝いた。

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