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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 42

「落ち着け!!真!!」
叫ぶ真を荒が叱りつける
「いつものお前らしくねぇぞ」
段平を両手に持ちながら言う
「セドナが竜の涙っちゅーもんでもいますぐにどうこうなるちゅーもんじゃねぇだろ」
「そそ、ここで自分等が取るべき行動はただひとつ」
陸の言葉と同時に立ち上がり両手に銃を握る
「荒風に言うと『あいつ等ソッコーでぶっ飛ばしてセドナの後を追う』だろ?」
「上出来」
立ち直った真に振り向くことなく荒が呟いた
「んじゃまお二方、一気に殺りますか?」
「応!!」
話がまとまったすぐ後、エリザによる上空からの風刃が真たちを襲った。陸が咄嗟に氷柱を作り出してそれを防ぐ。
「ソッコーでぶっ飛ばす? 笑わせるわ」
「パンツ丸見えの女に言われたくないな」
「見るな!」
エリザは顔を真っ赤にしてスカートを押さえた。上空で暴風を纏って浮いているのだ、バッチリと見えていた。そして荒はバッチリ見ていた。
「ぶっ殺す、アンタは絶対ぶっ殺す〜〜!!」
癇癪を起こしたエリザが荒に特攻する。
真たちは蜘蛛の子を散らすように荒のそばから離れた。
「任せたぞ、頑張れ荒」
「なっ! マジかよ!」
「たわけ、あの女を挑発したのは貴様だ」
「自業自得」
「だよ〜」
エリザは荒に任せ、真とワルド、陸とマリオンはダゴンと深きものどもに向かって行く。
「おっきぃね〜」
ダゴンを見上げたマリオンが素直に感想を漏らした。確かにデカイ、ダゴンはざっと見ても学校一棟分の大きさがある。
「デカくても闘るっきゃないだろ」
「うむ、そうだな」
真のセリフにワルドが頷いた。
「お先に!」
陸が先制した。巨大な氷柱が敵の足下から生え、深きものどもを吹っ飛ばした。
「マリオ〜ン」
「は〜い!」
マリオンが駆け、氷柱から逃れた敵を片付けていく。
「こっちも負けていられないな行くぞワルド!」
真は呪文を詠唱する。まずはワルドの封印解除。続けてもう一つ。
「バーニング・ラウド!」
ワルドの口から発射された火球が一直線にダゴンに飛び、胸に着弾して炸裂した。
「どうだ!」
ワルドの封印を全解除しての術だ。洞窟内での戦闘の時とは威力が違う。しかし……。
「効いていないようだな」
ダゴンは揺るぎもしなかった。まったくの無傷だ。
神の名は伊達ではないということだろう。
「グゴオオオオオオッ!」
ダゴンが吼え、倒れこんでくる。単純なボディプレスだが大きさと重量が違う。
「主!」
「陸!」
ワルドが真の首根っこを咥え、マリオンが陸を抱えてその場を離脱した。直後、今まで居た所をダゴンの巨体が押し潰した。巻き込まれた深きものどもが数十体潰れた。
巻き起こった凄まじい旋風に煽られて真たちは吹き飛んだ。
岩浜をあちこちぶつけながら転がる。最後に一際大きな岩に背中を打ち付けて、真はやっと止まった。
「ぐ、がはっ!」
全身が痛む。内臓を傷つけたのか口からは血を吐いた。
見れば陸とマリオンも似たようなもので、岩浜に倒れてぐったりしている。たった一撃、しかも直撃もしていない一撃でこの様だ。
「そらそらそらぁ!」
「ぐぅ……」
荒も苦戦、いや敗走している。必死に逃げ回る彼を上空からの風刃が容赦無く襲った。
真は荒をサポートするため銀閃を撃った。ばら蒔いた弾丸は魔力を帯び、エリザに向かって行く。
しかし暴風の楯はそれら全てを撥ね除けた。
「鬱陶しいわよアンタ!」
反撃の風刃が来る。傷ついた真は対応できない。
そんな真を庇ったのはワルドだった。彼は主の前に飛び出すとその大きな身体で風刃を受けた。
「ぐおぉぉっ!」
「ワルド!」
「ぐ……無事か、ならば良い……」

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