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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 38

エリザは唇を噛む。ナイは得体が知れないが力量は確かだ、間違いは無いだろう。つまり彼女にはこの先の出番は用意されていない。満足に目的を果たせない自分が悔しくて涙が出そうだった。

同時刻、洞窟の最奥ではセドナが正気を無くした仲間と戦っていた。
「みんな…どうして!?」
「ためらうなセドナ!」
迫る死人を水剣で斬り捨てながらトリトンが娘を叱咤する。セドナは泣きながら水弾を放った。
「頑張るね君」
不意に背後から声がする。振り向くとそこには闇を纏った少年がいた。
「竜の涙、頂くよ」
闇が、不気味に微笑んだ。

そのころ、真とアクセルの対決は決着を迎えようとしていた。
「ワルド、アレいくぞ」
「うむ」
おそらく相手は己の持てる最大の技で向かってくることだろう。ならば、こちらも奥義で迎え撃つしかない。
真は目を閉じ、長い呪文を詠唱する。同時に、ワルドは深く沈んで構えた。
対するアクセルも闘気を練りこんでいく。
両者の身体からはぞれぞれ魔力と闘気が光となって滲み出してきた。本来、不可視の筈のそれらが見えるのは、それほどまでに両者が力を錬りこんでいるからだ。
下がって見ていた澪は凄まじい殺気に中てられて、洞窟全体が大地震で揺れているような錯覚を覚えた。
真の祝詞が終盤を迎え、アクセルの斧槍が発光する。
そして戦いは、臨界点を超えた。

発光した槍斧と弾丸のように飛び出したワルドが激しくぶつかりあう
「あぁぁぁぁ!!」
「りぁぁぁぁ!!」
二人の怒号とほぼ同時にワルドとアクセルが弾き飛ばされた
そして少し遅れ衝撃が洞窟内に広がった
「ップ、中々やるでないかい・・・」
流石に疲労の色は隠せないが魔術書の力か少々すりむいた程度の傷で瓦礫の中から立ち上がるアクセル
「クッ・・・」
一方真はと言うと先程の大技のせいで疲労困憊の状態になっている
「(やっぱり『魔術書』の持ち主相手じゃまだ・・・)」
少し休めば魔力も回復するのだが相手がそんな隙を与えてくれる訳は無い
相手と消耗率が違い過ぎるのだ
「んじゃ俺の理屈が正しかったと言う事で」
アクセルが槍斧を振り上げた
「ふざけるな・・・死ぬまで俺は自分の信念を信じ続けてやる!!」
真の言葉にアクセルが少し口元を緩めた
「じゃあその理想を抱いてあの世に逝っときな」
「主!!」
遠くからワルドの声が聞こえた

「・・・?」
覚悟を決めた真だったが待てど暮らせど槍斧が振り下ろされない
おかしいと思い視線を前に向けるとそこにはアクセルの槍斧を受け止めるペンギンの姿があった
ペンギンと言っても身の丈は真より少し小さい程度である
「お前は・・・」
「『銀牙刀破掌』!!」
ペンギンの言葉と同時に片手(ペンギンの手なのだが)で槍斧の柄を掴み引き寄せると逆の手がアクセルの水月辺りに叩き込まれる
一瞬アクセルが浮き反対側から粉雪が少し吹き出した
「貴方は・・・?」
「お釣りを届けに来ただけのただのアルバイターです」
そう言うと真に小銭が投げられた

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