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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 37

「『エミグレ文書』ってさ〜、死人を蘇らせる秘術が載っててね」
真達の話を聞いていたのかアクセルが話し始めた
「まだ完全には完成してないんだけど『一時的に』生き返らせられてね、死んだことを忘れて生き返るんすよ〜」
「『一時的に』・・・?」
「そーそー、んで生き返って時間がある程度たつと・・・」
その時、アクセルの言葉を遮るかのように洞窟の奥から叫び声が聞こえた
「自我を残したまま、血と肉を求めてさ迷う生き物になるんすわ」
「まさかお前・・・」
「うん、逃げた人魚に数人紛れ込ませてみた」
ギリッと音が鳴るかと思うくらい真が奥歯を噛み締めた
「あっはっはっはっは、まぁ完成してたら万々歳だったんだけど、まだ未完成だったみたい。メンゴメンゴ」
一片の罪悪感の無い笑顔を浮かべるアクセル
「お前・・・命をもて遊んだのか!!!!」
真の怒号が空気を揺らした
「うん」
しかしアクセルは気にする様子も無くうなづく
「魔術は『力』さ。『力』は使ってナンボじゃん?『実戦』こそ最大の修行なりだよ。あ、これ師匠からの受け売りね」
アクセルの言葉に真の眉がピクリと動く。真は彼の言い分が気に入らない。
「ふざけるな! 確かに魔術は力だ、だけどそれは手段でしかない。大切なのはその手段でなにを成すかだ!」
実践と実戦を目的とした魔術。それは無関係な人を傷つける。故に、真がもっとも嫌うものだった。
だから真は決めている。この力を使うのは、なにかを、もしくは誰かを、守る時だけだと。
「お前の重みのない力なんかに負けてたまるか!」
魔力が真の体を駆け巡る。
「だったら、俺に勝って自分が正しいって証明しな!」
アクセルからも闘気がほどばしる。
一触即発、両者の決着は近い。

同時刻、洞窟の入口では深きものどもが騒いでいた。
「なんなのよもぅ!」
キレたエリザが見せしめに数体切り刻む。しかし静まる気配はない。
やがて道を作るように集団が割れた。空いた隙間を誰かが歩いて来る。
「アンタ…なんでここに!?」
「随分な言い様だな」
来たのは濃紺色のローブを着た青年。彼こそエリザ達の首領、ユリウスである。
「苦労しているそうじゃないか君らしくもない」
「手伝いに来たってわけ?」
エリザは鋭い目付きでユリウスを睨む。
だが彼はそれを軽くいなし
「手が空いたからな」とつまらなそうに言った。
一秒もしないうちに風刃が飛んで来る。しかしユリウスの身体には傷一つ付かなかった。
エリザの顔が驚愕に歪む。
「無駄だ。君が暴風域を纏うように、私も水の防御膜で包まれている」
魔術書を誇示する。水神クタアト、消えた魔術書の一つだ。
「それが今までの成果って訳ね」
「その通り、今まで籠って書への適応作業に没頭したかいがあった。今の私ならば神おも召喚可能だろう」
「じゃあ…」
「あとは例のものを確保するだけというわけだ。そのためにナイも来ている。君としては手柄を横取りされて気に入らないだろうがな」

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