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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 4

そっか。

セドナ。

彼女からとてつもないパワーを感じた。
あれ?
そんなに凄い力を持っているならあの時…
「どうして君は自分で奴らを追い払わなかったんだ?」
「馬鹿者。よく考えろ。人魚が地上で戦える訳なかろう」
ワルドがまたキツい事を言ってくださりやがる。
でも、なるほどそうか。変身者ってのは地形や時刻や月齢で強さが大きく変わりやすいと師匠が言ってたな。
「それよりも、我は【深き者ども】に追われていた理由が気になる。娘よ、答えろ」
ワルドが睨む。
セドナちゃんはそれに怯えた様子も無く静かに目を臥せた。
『………』
長い沈黙が痛い。
「わかりました。真さんを腕の立つ方とお見受けして、お話しましょう」
俺はゴクッと息を呑む。

セドナちゃんはゆっくり話始めた。
「お話する前に……」
気持ちの逸るおれは、ずいっとにじり寄る。
「とりあえずお料理の方、頼んじゃいませんか?」
「うむ、それもそうだな」
がくっ!
「オイオイ! 折角シリアスになったのに!」
「食べながらでもお話できます。会話は最高の調味料です!」
微妙にズレた事を言うね。
「娘の言うとおりだ。それに我は先程の戦闘で腹が減ったぞ」
こんな時だけ野生の本能出すな!
「真さんは何にします?」
はぁ〜、なんでこうなるんだか……。

次の日、おれ達はキングズクロス駅から列車に乗った。
流れて行く外の景色を眺めながら、おれはまた溜め息を吐いた。

セドナちゃんの事情は予想以上に深刻だった。
「彼らは私の村を度々襲っているんです」
「村を?」
「人魚の集落です。彼らは村の秘宝を狙っています」
最初は村の鬼児達だけでなんとかなった襲撃だが、最近はそうもいかなくなった。
そこで村長の娘であるセドナちゃんが力になってくれそうな鬼児を探しにきたそうだ。
おれ等が倒した奴らは追っ手だろう。
「お願いです真さんっ! 私たちの村を助けてください」
悲痛な声。必死な形相。
おれがどうするか迷ってると…。
「断る」
ワルドが冷たく言い放った。
「我々にも事情がある。一刻も早く日本に行かなければ…」

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