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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 3

ダァンッ!
腹に響く銃声。
狙いは大きく外れ、銃弾は敵の頭上を通過する。
しかし魔術にかかった弾はそのまま無駄になったりはしない。
追尾能力を持ったそれは、大きく弧を描いて方向を変え、敵の後頭部にぶち当たった。
頭に風穴の開いた深き者どもの膝から力が抜け、崩れ落ちる。なんとか倒せたようだった。
緊張の糸が切れてその場にへたり込む。初陣を勝利で飾った喜びなんて微塵も感じない。ただ命が有るのが安心なだけだ。
「あの……大丈夫、ですか?」
小さな白い手が差し伸べられる。
助けた女の子が心配そうにおれを見下ろしていた。

おれ達は路地裏を離れて表通りに出た。助けた女の子がお礼がしたいと言うので、適当なレストランに入る。勿論、ペットOKの店だ。欧米は動物の飼い主への理解があって良い。
「本当に危ないところをありがとうございます」
席に着いてまず言ったのがこれだった。流暢な日本語だ。
「私、セドナと申します」
「おれは真。んでこっちが……」
「ワルドだ」
「なっ!?」
おれが紹介する前にワルドは自ら名乗ってしまった。人前では喋るなとあれほど注意しているのに。これじゃ子犬に擬態してる意味が無い。
「問題無い。この女は主と同類だ」
おれの言いたい事は読まれていた。
「あ…えっと、セドナちゃん…、君…エターナルのマツエイでしょ?」
まあ、さっき戦ってた時もしゃべってたからいいか。と、無理に納得して話を続ける。
始祖エターナル、おれような人外の血を引く鬼児という異能者の先祖。最初の鬼児。
よく気をつけるとセドナちゃんからもかすかに人で無い人外の気配が感じられた。
「やっぱりわかりますか…」
「我が鼻を舐めるな」
「おれは同類の知り合いいっぱい居るしね」
おれをイギリスに置き去りにした仲間もそうだし、他にも居る。その中には友好的でない奴等も居て、日本に帰ったらそいつらと決着をつけないといけない。まあ、それは別の話なんだけどな。
「お二人のおっしゃるとおり、私も真さんと同じ鬼児。人魚になれる変身者です」
通常鬼児には4つの分類ができる。闘氣を使う闘士、魔力を使う魔術師、人外に変身する変身者、そして反則的な能力を持った超能力者。その中でもおれは変身者には良いイメージを持っていなかった。日本で一度変身者に殺されかけたからだ。

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