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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 29

「い、いいのそれで!?」
「日当はその日の朝支給だから貰うものは貰ってあるしー、そこまで義理は無いからなぁ」
「なるほどな。それもまあプロ意識みたいなもんか」
陸と同じ稼業の荒が真っ先に理解を示した。

陸の話では、里はつい昨日あの風の女エリザの襲撃で制圧されたそうだ。今は人に化けた深きものどもがなにかを探す作業中らしい。残党狩りは二の次で、陸を含む鬼児達はこうして周囲を守ってるだけだそうだ。
「多分、秘宝を探してるんでしょう。そもそも彼らの目的はそれの奪取ですから」
セドナがいつかのように言った。
「良かった…まだ生き残ってる人がいるかもしれません」
安堵の吐息を吐く。目にはうっすらと涙が。
しかし皮肉な話だ。里が狙われる原因になった秘宝とやらが今は里の者を守っているのだから。
「で、どうする嬢ちゃん?」
荒が促す。彼としてはここで先の行動指針を定めたいのだろう。
「そうですね、村から少し離れた岩浜に隠し洞窟があるんですけど、そこに向かいましょう。生き残りがいるとすればそこです」
「わかったそうしよう」
「ところで主。あの者達はどうする? 今の会話は筒抜けだが…」
「それはまあ見てな。お〜い陸」
「なにかなぁ?」
「おれ達の事これで黙っててくれない? 口止めのバイトってことで」
と言って真が差し出したのは活動資金の一部、五千ドル相当のユーロ紙幣。
陸は朗らかな笑顔のままためらう事無くそれを受け取った。
「いいよ。ただし話終わったなら早く行ってね。あまりうろつかれるとこっちの立場が無いからさぁ」
「OK。交渉成立だな」
時間にして一分。真はあっさりとワルドの懸念を無くしてしまった。
鮮やかな手並みに荒が口笛を吹き、セドナはやや呆れた顔をした。
「前に私のこと交渉上手って言いましたけど、それってむしろ真さんの方じゃありません?」
「いいや、そんなことないよ。だっておれは君の真似しただけだからね」
そう言いながら遠ざかっていく真達を見送り手を振る陸
「んー」
「なに考えてるの、りく〜?」
「んー?あの子達勝ち目少ないよね」
「うん」
「・・・ちょっと小細工してあの子達が勝ちやすいようにしたら『楽しくない』?」
陸の言葉にマリオンが腕を組み考える
「とっても楽しい〜」
「よし、マリオン遊びに行こうか」
「うん!!」
ニコニコ笑いながら真達とは反対の方に向かった

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