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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 28

「同感。正直魔力だけなら師匠のとこの『トリスタン君』と同等かもなぁ」
「あああぁぁぁっ!」
「来るぞ主。気を抜くな」
マリオンが突進して来た。迅い、だが真っ直ぐ過ぎる。
弾丸のような突きを真は冷静に見切って避けた。続いて来た鋭い蹴り、先読みして余裕で躱した。
ワルドが体当たりしてマリオンを突き放す。「まるで猪か闘牛だな」
「ああ、パワーとスピードは大したもんだけどそれだけだ」
マリオンは確かに凄い。だが動きはまるで子供の喧嘩だ。
クライドの剣舞を受け切ったように、逃げる事生き残る事が得意な真には当たらない。本人としては少し情けない話だが。

攻撃を避けては距離を置く
そのやりとりが数回行われたとき
「マリオン、スト〜ップ」
不意に声が響いた
「もう目が覚めたのか!!」
先程気絶させた陸がいつの間にか立ち上がっていた
「マズイぞ主」
「わかってる」
マリオンに気を取られている内に目を覚ましてしまったらしい
「あー、たんまたんま」
戦闘体勢になる二人に陸が片手を出して制止する。ちなみにマリオンは陸の片足にしがみついて真を睨んでいる
「今何時かわかる?」
陸の言葉にチラリと時間を確認する
「三時・・・」
真の言葉に陸がやっぱりか〜、と頭を掻いた
「『定時』だ。」
陸が呟いた
「はい?」
聞いたことのある、いや逆にこんな魔術師同士の戦闘では全く使われない言葉に真が耳を疑った
「言ったでしょ〜?自分等は『バイト生』だって、だから『定時』んなったらバイトは終わり、オケー?」
そう言うと軽く笑顔を見せた。おそらくこの笑顔が彼の真顔なのだろう
「変な奴。まあでも戦わなくていいなら助かるか」
「まったく、相変わらず甘いな主は」
ワルドの呆れたようなコメントに真は曖昧に笑って返す。
「それはそうとお腹が空いたなぁ。遅いけどお昼にしようマリオン。君達も一緒にどう?」
『へ?』

森で待機していたセドナ達と合流し、陸とマリオンを交えてささやかなお茶会となった。
「むぐむぐ…あむ…」
マリオンはあれだけ荒れたのが嘘みたいにおとなしい。きっと陸が警戒心してないからだろう。
セドナはサンドイッチを頬張るマリオンを見て微笑んでいる。
「なにげに図太いよな嬢ちゃんって」
荒が小声で感想を漏らした。
だが真に言わせれば荒には言われたくない。荒だって一度戦ったし金まで要求してきたじゃないかと。
「ところで陸、だっけ? 君のそのバイトに守秘義務はある?」
「別にないかなぁ」
「じゃあ村の様子が聞きたいんだけど…」
「主!」
露骨過ぎる聞き方にワルドがやや怒った声を出す。荒も眉間に皺を寄せていた。
「う…」
仲間達の反応がよろしくなくて不安になる。
だがそれはまったく無用の心配だった。
「いいですよ。マリオンの面倒見てくれたのでそのお礼と言う事で…」
意外にも陸はあっさりと了解してくれたのだ。

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