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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 24

一発、たった一発だけ。けれど今までどうしても当たらなかった必殺の弾丸。
それは氷の砲身を通って真っ直ぐにクライドの胸を貫いた。
「がはっ…」
血を噴いて膝を付くクライド。その顔には死相が出ていた。
「ば、バカな…もう少しで…神の力が、この手に…」
「神…だと!」
呟きを聞いたワルドの表情が険しくなる。
「答えろ。貴様らの言う神とは一体……!?」
鬼気迫る表情で問い詰めた。クライドは一瞬笑い、絶望を遺そうと口を開く。
しかしそれは適わなかった。
「危ないワルド!」
真が叫び、ワルドは飛び退く。
直後、クライドの身体がバラバラに引き裂かれた。
ホールに台風のような強風が吹き荒れる。入口のガラスが残らず割れた。
「風の刃か!」
荒がクライドを肉片に変えたものの正体に気付いた。
「余計なことを…」
英語の呟き。ホテルのすぐ外からだ。
そこには風を纏った女がいた。地上から一メートル程の高さに浮いている。黒いスカートとこげ茶色の長髪が風に揺れている。
その手には古びた書物。
「貴女は!」
セドナが驚いた声を上げた。
「久しぶりねお嬢さん。なかなか頼りになる男を見つけたじゃない」
また英語だった。聞き取れない真にワルドが説明している。
その間にも会話は続いた。
「どうして貴女がここに…?」
セドナが英語で言った。
「別に大きな意味は無いわ。ただあんたの里を占拠して手が空いたからこっちにまわっただけよ」
「嘘…じゃあみんなは!?」
故郷の里が占拠されたと聞いてセドナは目の前が真っ暗になった。
女は絶望に憔悴した様子を見て嘲笑う。
「クスクス…真実はその目で確かめる事ね。伯白、帰るわよ」
「やれやれ見つかっていましたカ」
女に呼ばれて伯白が二階からひょっこり顔を出した。
女の風が彼を包み込み、壊れた窓から外に連れ出す。
「それではまた会いましょう魔獣使いさん」
女は最後に日本語でこう言って飛び去った。
「待って!!」
女の後を追おうとするセドナの手を真が掴む
「離して!!」
「落ち着くんだ。焦っても良いことはなにもない」
真っ直ぐセドナを見つめ諭す真
「・・・すいませんでした。私としたことが」
「いや、家族や仲間の事だからね、取り乱して当たり前だよ」
「真さん・・・」
い〜い感じにラブコメの雰囲気が盛り上がってきたころ
「そこのお二人さ〜ん、ラブコメも別にいいけど急いだほうがよろしいんじゃないのか〜?」
ハッと気付き手を離すとバツが悪そうに頭を掻く
「で、人魚の里はここから近いのか?」
荒が煙草片手に聞いた
「いえ。距離的には近いのですがここからだと山を迂回しなければなりませんから半日程度かかります」
「半日か・・・」
現在時刻はお昼前、今から行くと夜中になってしまう
「どうしよう・・・」
真の呟きに荒が煙を吐き煙草をクシャッと握り潰した
「『飛べば』いいんだろ?」
「へ?」
ピンッと潰した煙草を投げると一瞬にして巨大な鷹になる
「俺の使い魔『御鷹』だ」
荒の言葉に喉を鳴らす御鷹
「コイツに乗りゃいい」
翼を広げるとひとが二人程度乗れるであろう背が見えた

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