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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 2

「危険な連中か?」
「少なくとも話合いの通じる相手ではない!」
男達の姿が不気味に変化した。服を破りながら身体が大きくなっていく。皮膚は鱗に変わって、耳の後ろにえらが出てきた。
腐った魚ような生臭いにおいが鼻を突く。
男二人は見る間に半魚人二体になった。
ヤバい空気を感じて、おれはすぐに呪を紡ぐ。
「エミル・ジュマ・ルゥド・ワルド!」
呪文の締め括りと同時にワルドが発光する。光が止むとワルドは子犬から立派な魔狼の姿になっていた。
「封印解除完了。頼むぜ相棒!」
「了解だマスター」
ワルドは頷き、風のような速さで深き者どもに襲いかかった。
 確かに敵は常識外れな力をもった化け物かもしれないが、ワルドも同じく人外と呼ばれるもの、大きく括れば同類だ。
 それに性格には問題ありだが、おれはあいつの実力を信じている。その予想どおりに、ワルドは深き者ども二体を相手取っても、まったく引けをとらない。
 今のうちにと、おれはワルドが二体を押さえている隙に、あの人外達に迫られていた女の子のもとに駆け寄った。やつらとどのような関係があるかは分からないが、言い合いをしていたようなので、人外の仲間という訳ではないだろう。
だけど人外よりも驚いたのは、襲われてた子が昼間街で目が合った子だった事だ。青みのある銀髪なんてそうはいない。
「大丈夫?って待てよ、英語じゃないと…あ、あーゆー…」
「マスター!」
緊迫した声に振り返る。意外にもワルドは苦戦していた。
うまく動けず、決定打を与えられないみたいだ。真の姿のワルドは全長3メートルを超える。そんなデカさじゃこの路地は狭過ぎだ。
援護のため銃をぶっ放す。しかし弾は敵を逸れて、それどころかワルドをかすめた。
「こんな地形で銃など撃つな馬鹿者!」
案の定、お叱りの言葉が帰ってきた。おれは自分の実戦経験の無さを呪った。
「とにかくこのサイズをなんとかせんか!」
「へいへい。レイノ・ドゥ・オーサ…」
ワルドの指示に従って呪を紡ぐ。これじゃどっちが主人だかわからない。
ワルドの身体が再び発光して、中型犬位のサイズになった。子犬サイズになる封印呪文を弱く掛けた結果だ。
動き易くなったワルドは再度、深き者どもに襲いかかる。ぬめりのある腕がたたき落とそうとしてくるが遅い。身軽になったワルドには軽々と避け、すかさずニ体ともに体当たりで吹っ飛ばしてやった。
「一気に畳み掛けろ! オン・ロゥ・マイト」
必殺の呪を紡ぐ。テールエッジ。巨大化した尻尾で一刀両断する技だ。
「いけ!」
「グルァッ!」
ワルドは深き者どもの一体の上にのし掛かり、組み敷いた。
もがいても爪がガッチリと掴まえてるから逃げられない。それにもがく暇すら与える気なんて無い。
間髪入れず、尻尾を超速で一閃し、首を斬り落とした。青黒い血を撒き散らして、深き者どもは絶命した。
残ったもう一体の敵がやぶれかぶれになって、おれの方に突進して来る。
「今度は外さない!」
迎え撃ったおれは、再び銃を構えて狙いを絞り、銃身に刻み込まれた呪文を指でなぞる。すると銃口が光り、魔術が発動した。
銃弾に追尾能力を付加する魔術だ。
「くらえ!」

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