PiPi's World 投稿小説

Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 18
 20
の最後へ

Beast Master“真” 20

「なんとかなりましたね」
「うん。結構厳しかったけどな」
セドナと真は安堵の溜め息を吐いた。僵戸を前にした時の緊張感は深きものども以上だ。
「しかしその銃はなかなか役に立ちそうだな」
真の新しい銃【天虹】は銃弾に任意の属性を付加できる銃だ。これなら相手の弱点を突ける上に、攻撃の幅が広くなる。
攻撃に長けた黒魔術が使えない真にはピッタリの武器だ。
「こいつのおかげで助かったよ。セドナちゃんも強かったしね」
真の言葉にセドナは頬を赤く染めた。
「さあ急ごう。残った荒のためにも退路を確保しないと」
二人と一匹は頷き合い、再び廊下を駆け出した。

廊下を駆け、階段を跳ぶように降り、僵戸を苦戦しながらも粉砕して二人と一匹は玄関ホールに到達した。
三階まで吹き抜けで通りに面した壁面はすべてガラス張りと、開放的だったホールは今は無残に荒れ果ててしまっていた。
真達は一気に出口まで駆け抜けようとする。しかしその足は数歩も行かない内に止まった。
金髪の少年が一人立ち塞がっている。
歳はだいたい真達と同じくらい。背中には二本の剣を背負っている。
真は目の前の少年が自分達と同類の鬼児であると一目で見抜いた。
少年が右手を上げる。するとホール中に落ちていた物が音も無く空中に浮かび上がった。
「なっ!」
思わず声を上げたのはワルドだった。
なぜなら怪異を目の前にしているのに彼の自慢の鼻はなんにも感じていなかったからだ。魔力が錬られた匂いも闘気が生成された匂いもしない。つまり目の前の光景は魔術でも闘気による現象でもない。
「オマエ、人形使いのアーニーを殺したヤツか?」
真を睨んで少年は問う。
「そうだと言ったら?」
真も負けずに睨み返す。少年は笑った。
「オレと勝負してもらう!」
「主! こいつは超能力者だ!」
「正解。オレはクライド、十剣のクライドだ!」
クライドが腕を真横に振る。浮いていた物が一斉に真に襲いかかった。
「っだぁぁ!!」
迫り来る椅子やら机やらキャンドル台やらをセドナをかばう形で飛び込み、避ける
「主!!」
「喰らえ!!」
ワルドの言葉より早くトリガーを引く
的確な軌道を刻み目標に迫る弾丸
だったのだが
「フン」
クライドに当たる直前、突然軌道を曲げ部屋の各所に突き刺さった
「『サイコキネシス』相手に銃は効果がないんだよ!!」
そう言うとまた床に散らばっていたものが空中に浮かび上がる
「喰らえぃ!!」
片手を振るうと浮いた物が一斉に真に降り注いだ
「真さん!!」
真に降り注ぐ様々な物をセドナの水弾が弾き飛ばす
「真さん!!こちらへ」
なんとか廊下へ逃げ込むと扉を閉め札を貼った
「これでしばらくはもつはずだけど・・・」
「だが主、恐らく物理的な攻撃はほとんど無効化されてしまうぞ」
実際、弾丸の軌道を変えてしまうほどの力だ、ワルドと言えどすんなり行く相手ではないだろう
「う〜ん・・・」
真の頭を様々な戦略が巡る
「真さん?」
セドナが真の顔を覗きこむ
「(うあ・・・可愛い、濡れた髪がさらに色気を・・・って違う違う!!)」
ブンブンと顔を振るう

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す