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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 19

「はっ!」
段平が閃き先頭にいた僵戸の首を斬り飛ばした。続いてすぐ横の、さらに少し踏み込んで奥の一体を斬る。
荒の前に僵戸達は次々倒され、床に死体が折り重なっていく。
しかし
「キリがねぇな」
ある者は首を拾い、ある者は胴体を繋げて再生していく。
僵戸とは完全に消滅させない限り再生を繰り返す手合いらしい。
「たったら残さず焼き尽くすまでだ」
荒は札を取り出して呪文を呟いた。
「烈火!」
術が完成し、僵戸達を業火が包み込む。
だが一つだけ誤算があった。
スプリンクラーだ。発生した火災に反応したそれは廊下に水を撒いて火を消してしまった。
「・・・・・・」
びしょ濡れになった荒と僵戸達
「相も変わらず考えなしな様子で、幸せなことだネ」
「・・・じゃかしいわ、ホゲダラ導師」
ワラワラとひしめいていた僵戸が脇によりできた道を一人の、小さめの黒眼鏡をかけた着物の男が歩いてきた
「久しぶりの再会なのに随分な言葉じゃないカ」
「は、こっちは二度と会いたかなかったけどな」
ハッハッハッハ・・・と笑いあう
「んじゃま、殺ろうか」
「今度はそうそう殺されないアルヨ」
返り討ちにしてやるヨと言うと同時に二人弾かれたようにぶつかりあった

「酷いです。最低です。女の敵です!」
走りながらセドナは真を罵倒し続けた。不可抗力とは言え下着姿を見られた恨みは深い。
返す言葉の無い真はただへこたれるしかない。
「凹んでいる場合ではないぞ、来た!」
ワルドの言うとおり、通路の先に三人の人影が現れた。吐き気をもよおすような死臭が立ち込める。
「退けぇ!」
半ばヤケクソになって真は発砲する。
しかし僵戸達は銃弾をものともしない。
「主、アンデッドには火だ!」
「わかった」
真は昨夜創った新しい銃を召喚し、構える。
だがそこでスプリンクラーが作動し、廊下に霧雨が降った。
「な、なんだこれは!?」
「ホテルの防災装置です!」
文明音痴のワルドにセドナが説明した。
「多分荒が火を使ったんだ。でもこれじゃあ…」
水浸しの状況では僵戸を燃やし尽くせない。
「私がやってみます」
セドナが前に出た。銀髪が青い光を帯び、シーツから伸びた手に水が集まって弾丸と化す。
「やぁ!」
腕を突き出すと鋼よりも硬くなった水弾が飛んだ。それは一番近くにいた僵戸の顔面に着弾し、頭部ごと爆散する。
だが僵戸はそれでも死ぬどころか怯みもせずに前進してくる。
「危ない!」
真はセドナを背中にかばって再び銃を構えた。
「ウー・ルグス・アッド……」
真の口から呪文が響く。銃にびっしりと刻まれた術式が起動し、光り輝いた。
「これで黙っとけ!」
腹に響く発砲音。視界を灼くマズルフラッシュ。
銃弾を受けた僵戸は止まり、白い煙を出しながらカチコチに凍った。
「ワルド!」
真の指示に従いワルドが動く。凍った僵戸を蹴っ飛ばし、粉々に砕いた。
今度は動くどころか再生すらしない。
「これなら効くな。ワルド!」
真とワルドは同じ方法でもう一体倒した。
残る一体にはセドナが再び水弾を放つ。
水弾は散弾銃のように拡散して僵戸をバラバラに散らした。

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