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Beast Master“真”
その他リレー小説 - ファンタジー

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Beast Master“真” 18

「真さん魔具の製作もできるんですか?」
「物に呪文を刻む技術だけ師匠に教わった。だから専門の職人には及ばないさ」
魔具とは真の銃や荒の段平のように異能の力を持った物品だ。
戦う事より創る事に秀でた鬼児によって作られる。魔術書なんかがいい例だ。
「用も済んだから戻ろう。今日中にこれを完成させたいからさ…」
「そうですね、私も少し疲れました」
セドナはもう少しだけ真と街を歩きたかったがすぐに諦めた。
今は我が儘を言える状況じゃない。明日からはまた厳しい旅路になるのだから。

夕食を済ませた三人は早々に自室に戻った。
大事をとって早めに休むためであったが、今夜はなぜか眠れない。
セドナはベッドの上で無意味に寝返りを打って物思いに耽り、荒はタバコをふかしながら札に呪印を書き込む。真は買ってきた銃を徹底的に改造した。ワルドは横で黙ったまま主を見守る。
そうこうする内に空が白んで、朝がやってきた。
「ん〜・・・ヤな臭いがするな・・・」
「え?」
身支度をする真の横でソファーに寝転がり煙草を吹かしていた荒が顔をしかめた
「なぁ、ワルド、お前も感じるだろ?」
「うむ・・・だがこの臭いは・・・」
「『深き者』が使えないからこんなん使ってきたか」
やれやれとソファーから起き上がる
「『僵戸』だ」
「『僵戸』!?」
僵戸とは死人を操り強化したモノで、見た目は人のそれと変わらないため魔術師でないかぎり見分けは難しい反面、並の魔術師では作ることができないのだが・・・
「十・・・いや、もっとか」
「なんでそんなに!!」
「落ち着け、真。とりあえずお前はセドナ嬢を連れて脱出しろや。俺がオトリをやってやる」
「大丈夫か?」
フ〜ッと煙草の煙を吐く
「ま、死ぬ気はないわな」
荒の返事を聞くと真とワルドはセドナの部屋に向かった
一人部屋に残った荒が煙草を口にくわえながら呟いた
「・・・そういやいたなぁ、俺の知り合いに、僵戸作れるアホ導師」
そう言うと段平片手に部屋を出た
廊下に出ると同時に隣りのドアから真達が飛び出して来た。
セドナは身体にシーツをかぶった変な格好をしている。シーツから生足が出ているのを見るに彼女は運悪く着替え中だったらしい。
「ここは頼んだぜ」
荒の横をすり抜けながら真が言う。頬に見事な赤い手形がついているせいでイマイチ緊張感に欠けた。
(こんな状況でラブコメやるなんてな。退屈しない奴等だ)
などと少々失礼な感想を抱きながら荒は二人と一匹を見送る。
「お出ましか」
そんな彼の背に僵戸の軍勢がグールには無い整然とした動きで迫っていた。
「さてと、いっちょやるかね!」
荒は段平を抜いて構えた。

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