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Beast Master“真”
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Beast Master“真” 15


とりあえず話はついた。空いた二時間で仮眠を取る事にしてセドナは部屋に戻った。
二時間と少し後、電話の呼び出し音で真は目を覚ました。
「すべて用意できたわ…。資料はその街にいる私の部下にメールしたから…指定の場所で資金と一緒に受け取って…」
「わかった。ありがとな」
「いいえ…仲間を助けるのは当然よ…」
「おれを独りだけイギリスに放り出しといてよく言うぜ」
「だって…その方が面白いでしょう…?」
「はぁ。そうだった、君はそういう子だったな」
真は溜め息を吐く。
お互いに当たり障りのない挨拶を交わして電話を切った。

まだ少し眠いが約束の時間に遅れてしまわないように部屋を出る
のそのそホテルのロビーにやってくるとソファーの上で寝ころがりながら器用に筆で札を書いている荒がいた
「ん?なんだ、起きたのか」
「あ、うん。荒はなに書いてたんだ?」
軽く束になっている札を指差す
「これか?これは『水妖』の力を一定時間封印する為の札だ。セドナ嬢の気配が敵にバレねぇようにしねぇといけねぇからな」
束になっている札を数枚とると真に投げる
「『深き者』にも多少効くはずだ。持っとけ」
「あ、ありがとう」
「礼はいい、これも『仕事』の内だかんな」
札をまとめると懐にしまう荒
「で、だ。たしか契約じゃこの街までの護衛だったはずだ。どうする?このまま契約更新といくか?」
シュバッと煙草が爆ぜ、火がつく
「とりあえず更新する予定だ。その為の資金も用意したからちょっと待ってて」
「まぁ慌てんな、しばらくはここにいるから、心が決まったらまたくればいい」
煙草をくわえるとソファーに寝ころがる
正直行儀が悪い
「んじゃ行ってくるから、セドナちゃんのこと頼む」
真の言葉に片手をヒラヒラさせ答えた

ホテルを出た真と子犬姿のワルドは教えられた通りに街を歩いた。やがて市民公園に辿り着き、待ち合わせ場所の噴水の前で待つ。
「葉山様ですね?」
しばらくして現れたのは黒いパンツスーツをカッチリと着込んだ日本人の女だった。一見すると海外出張中のエリートキャリアウーマンのようだが、よく見るとたたずまいに隙が無い。真たちと同類というわけでは無さそうだがかなり武術をやり込んでいる。
「お初にお目にかかります。私は社の非合法部門に所属するエージェント、琴乃と申します」
「あ、どうも」
琴乃の丁寧な動作につられて真は思わずお辞儀をしてしまう。
「えっと…それで資料と資金は?」
「用意してございます。ここでは落ち着かないので場所を変えましょう」
ついて来て下さい、と言って琴乃は歩き出す。真とワルドも後に続いた。

案内されたのはイギリスの街には不似合いな、料亭風の日本料理店だった。
(あいつが面白がって作ったんだな)
下品にならない程度に豪華に作られた内装はさっきまで電話で話していた天才少女実業家の屋敷を思わせる。十中八九この店は彼女の持ち物だろう。
「どうぞこちらへ」
座敷には二人分の席、とワルド用の座布団。二人と一匹が席に着くと次々と料理が運ばれてきた。

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