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飛剣跳刀
その他リレー小説 - ファンタジー

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飛剣跳刀 5

「聞かれるのが嫌なら、黙らせる方法くらいいくらでも…」
ちらりと送ってよこした芙蓉の横目に、飛衛もティンバロもあえて気付かぬふりをした。
「ところで」
飛衛の話題変換に、芙蓉が首を傾げて続きを待つ。
「お前の邪魔をした奴ら、みんな殺ったのか?」
「あたりまえでしょ。生きてるより死んでたほうがましな奴らだもん」
「そりゃ、いきなり射かけてくる連中…確かに、死んで貰っていたほうが助かる。――が、せめて射かけてきた理由くらい訊いてから、だな…」
どうやらこの男も、多少常識のズレた感がある。それとも、ヒノモトという国では、これが常識的な考え方なのか?
「…と、いうのは半分冗談だが」
ティンバロへの飛衛の言葉、半分、というあたりに逆に寒気を感じる…
「ところでお前、何しに来た?」
飛衛が芙蓉に訪ねる。
「ん〜、別にいいでしょ、あたしが何しに来ようと、センセに用事じゃないもの、関係ないでしょ」
「…城太郎には用事があるんだな?」
「さあ、ね?」
口先では誤魔化しながら、少女の笑顔はあきらかに肯定の表情で、飛衛に向けられた。
「まったく、海を越えてはるばるとご苦労だな、恋する乙女」
とたんに、芙蓉の顔にさっと血がのぼった。かと思うと今度は青ざめて、
「からかわないで、殺すわよ!」
…滑らかな、白い指の間に、いつの間にかキラリと寒い光を放っているものが現れて、飛衛を狙っている。
「剣呑、剣呑」
飛衛は顔を、芙蓉の指の間からのぞく忍者の暗器、柳葉剣からそらしたが、隻眼には依然笑みを含んで、
「たのむ、よしてくれ。…お前のことだ、そんな、致命傷を与えにくい武器には毒を塗ってるんだろう。冗談で済まんではないか」
「あら、よくわかったわね。…で、反省した?」
「反省した、いやむしろ、降参だ」
飛衛というのも、先程からの身ごなしはただ者に思えないが、この美少女の前では甚だ情けない。

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