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飛剣跳刀
その他リレー小説 - ファンタジー

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飛剣跳刀 14

「ところでさあ」
 せっかく?高まっている緊張など知らぬ顔で、城太郎がいう。
「これ、何だろうな。ほんとに」
「だから、それについて今話してるんだろうが!」
 ティンバロが突っ込んだ。
「…いいか、その噂ってのは」
 一段と声を低めて、
「魔教。…と、とりあえず呼ばれてる奴ら。シャリビアには最近勢力を伸ばしてきたってとこかも。んでもって、奴らの出るところには必ず、毒が出る」
 そこで、
「あら、…城太郎」
 と、芙蓉が声をあげた。
「ちょっと、それを…もう一度傾けてみて」
「ん?これで、いいか?」
 …遅ればせながら──それは、たとえれば掌くらいのメダルに似ていた。ただし、今のごとく傾ければ、
「見て…蛇に、蠍(さそり)に、蜈蚣(むかで)、蛛踟、蝦蟇。『五毒』ね。光の加減で浮かび出るようになっているんだわ。ティンバロ、これが、魔教の連想を?」
「ああ」
「ふうん…そういえば、あいつらいってたわね。『あれが見付からねば、教主さまのお怒りが…』なんとか、って」
「げ、教主とかって…本気でそんなこといってたのかよ…」
「で、」
 飛衛が話を引き戻す。
「名前からも毒使いってとこからも何やら剣呑らしいが、おまえ、奴らについてはどれほど知っている?」
「う〜ん」
 ティンバロは唸った。
「せいぜい、今いったぐらいだなあ。第一、おいそれと情報が入るくらいなら、存在自体もっと知れてていいはずだろ」
「俺も、そう思う」
 飛衛は頷くと、
「まあ…大事にもっておけ」
 城太郎にいった。

「おい」
 と、全然違う方向から声がかかったのはそのときだ。
「そいつらが、そっちのお連れさんなんだな」
「ああ。待たせた」
「よっしゃ、それなら出発できる」
 荒野を、砂漠を渡ろうという場合、たいがいの者はこの宿で適当にパーティを組んで出発するのである。ならば道案内を頼む必要もなさそうなものだが、どっこい、このパーティはただ盗賊、獣の類を寄せ付けにくくするだけのためで、全く、「助け合い」などという麗しい目的のためではない。従って、食料調達から夜毎の寝場所の確保まで、別に「道案内」が必要なのだ。このネーミングはパーティを組まなかった頃の名残だろう。

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