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飛剣跳刀
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飛剣跳刀 13

 で、その数人の会話というのが、その殺しで死んだ男の身に付けていたものを探す相談で、則ち男がどこで殺されたか、…死体は見付かったが、すでに狼や鷲の類にあちこち持ち去られていて、正確に分からなくなっているその場所の判別をつけんとするものであったのだ。
 連中から又聞きした情報から、芙蓉があっさり男の死に場所をわりだし、それを見付けたのは、すでに述べたとおりである。

「じゃあ、これは、死体が身に付けていたもの…」
 城太郎が、それを見回しつつ呟く。だからといって、気味悪いと放り出すつもりはないらしい。忍の隠れ里育ちならごく当然であるかもしれない。忍者がいちいち死体に関わったものを避けていたら商売あがったりである。
「そうよ」
 芙蓉も城太郎以上に当然の顔で頷いて、
「しっかり持っておいてね。でも絶対、軽々しく人目にさらしちゃダメ」
「…わかった」
 おとなしく…というより、言われるがままの体で、城太郎が頷く。
「なあ」
 ティンバロが横から、おそるおそるとでもいうように、口を出した。常とは違った神妙な声色で、
「そいつら、何か他にいってなかったか…?」
「他に…?何か、やましいことでもあるから気になるの?」
「まさか。少なくとも俺は関係ねえことだけど」
 ティンバロの顔は、まんざら嘘をついてもいなさそうだ。
「だってさ、あんた…取るに足らねえ、雑魚だとかそのへんの柄の悪いだけの奴が血眼になってたって、鼻で笑うだけだろ」
「おまえ、以外に賢いな」
 飛衛がにやりとしていう。
「誰かさんと一緒にしてくれんな」
 ティンバロは答えて、
「だから、芙蓉、あんたはそいつらの裏に何かただならねえものを感じとってるんだろ」
「かもね」
「それで、俺はある噂を思い出したんだよ!」
「噂…ねえ」
 飛衛が首をひねった。
「しかし、俺たちにしろ旅のなかでとはいえシャリビアにはもう…半年近いぞ。色々と噂も耳にせんこともない。だが、今の話と、芙蓉のお土産とやらで思い当たるようなものは…」
「そりゃ、ねえにきまってるよ、半年かそこらなんて。俺なんざ、たしかにずっといたわけでもないが、シャリビアに十七年暮らしてきてついこの間初めてきいた噂だしな」

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