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クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜
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クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜 14

「操った『人』ですって? 有り得ないわ。あの時のアンタに憑いてたのは、どう見たって化け物だったわよ」
コハルミが口を挟む。口調が荒いのは殺されそうになった時を思い出したからだろうか。
「いえ、そういう意味ではないのです。直接憑いていた存在ではなく、私の精神そのものに手を加えた『人』がいるのです」
そう言うと、彼女は自分が如何にしてあの『力』を手にしたかを語った。そして、その時の状況も……そして、話の最後にこう付け足した。
「極度の衰弱状態にあった私に、あの老人は催眠術をかけたのでしょう。いいえ、もしかすると老人であるというのも幻覚で姿を変えていたのかもしれません。いずれにしても、恐ろしい腕前の魔術師ですわ」
「う〜ん、一体何者なんだ〜、そいつは〜?」
腕を組んで悩む姿勢をとるヴィン。
「はいはい、足りない頭で考えたって仕方がないでしょ。で、その老人を居場所を知る手掛かり術はないかしら?」
「手掛かりになるかは、わかりませんが…暗示にかけられる時に邪竜の爪を飲んでパレイオスという言葉と聞きましたが…」
「邪竜とパレイオス…もしかしたら、同一?」
コハルミの目の瞳孔が開く「えっ、邪竜って事は竜?マジで!?」
ヴィンの顔が子供のように喜んでいる
「そう言われてみれば、アンタに取っ憑いてたアレ、竜に見えないこともないわね……」
口に出してからコハルミは思わず腕をさする。先日の占い師の変貌を思い出して鳥肌が立ってしまったらしい。
「私が飲まされた爪は、恐らく邪竜の魂を送り込む為の触媒だったのでしょう。邪竜の力を使えるということは、言い換えれば精神的にそれと繋がっているということですから」
占い師が補足する。流石に魔術の心得があるだけの事はある。真面目に修行していれば、或いはかなりの使い手になるのではないかとコハルミは密かに思う。
「そうか、邪竜か……これでドラゴンキラーへの道標が見えてきたぜ!」
「竜キラー?」
 コハルミが叫ぶ。しかしそれは、ヴィンの意図を捉えかねたというわけではなく、
「狙われてたのはアンタでしょ? アンタが、老人(仮)に狙われてたのはどうしてか、気にならないの?」
「あ、ほんとだ。…どうしてだろう。占い師さん、そのへんの記憶は?」
 ヴィンの尋ねるのとは関係ないことを、このときコハルミがもらした。
「いつまでもその呼び方はないんじゃない? そろそろ、名前をきいていいかしら」
「えっ、コハルミさんは知ってるんじゃないんですか」
「アタシは、良いけどヴィンに教えてあげなさいよ」「え…あっ、はい。私はチェルミラと言います」
少し、慌てながら自分の名前をヴィンに教えた
「じゃ、これからよろしくチェルミラ」
 ヴィンは満面の笑顔でチェルミラに握手を求めた。チェルミラは多少戸惑ったが、すぐに笑顔で握手に応じた。
「んで、結局チェルミラはヴィンを襲った理由はわかるの?」
コハルミが、思いだしたかのようにチェルミラに聞いた
「残念ですが、わからないんです…というより知らないんです」

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