PiPi's World 投稿小説

クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 10
 12
の最後へ

クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜 12

ヴィンは一度、剣を構えて大きく深呼吸をする
(…ッ!!息をするだけでこんなに痛いなんて…でもやらなきゃならないんだ)かなりフラフラになりながらも一歩ずつ歩く
「そんなことじゃ、アンタが死んじゃうわよ」
「大丈夫…オレは死なないよ」
心配するコハルミにヴィンは笑顔を向ける
「大丈夫!オレは死なないから大丈夫!!」
自分に言い聞かせるように呟く…そして、走り出す
「ウォォォ〜!!」
占い師に向けて一直線に剣を突き刺す!
「ガァァァ」
占い師はまた動き出そうとしたが、その動きも止まった…そして
「ウ…グゥゥゥッ…アァぁぁぁッ…!」
再び、占い師の全身に浮き上がった血管が不気味な脈動を始めた。だが、今度は先刻とは違い、ゆっくりと肌の色が人間のそれに近づいていく。
「出て行け――」
ヴィンが占い師の身体に突き刺さった剣を握り直しながら囁く。瀕死の状態だというのに、その声は力を失わずに響く。
「この人の身体を返して、元の居場所に帰るんだ。さあ、出て行け……」
さて、奇妙なことがあるもので、ヴィン&コハルミも、そしてまたイージーも、時を同じくして占い師と戦っていた。つまり、同じ人間が二人いるのでない限り…
ヴィンに刺された占い師は、のたうちながら、それまで彼女のもっていた禍々しさを次第に失せさせてゆく。
そして、イージー対する占い師のほうは。
「ぎょほほほ、ケ、ケケェ…ケケッ」
突然、そんな声を上げ出した。イージーは、戦いを思わず中断して、びくっとしてそちらを見やる。占い師は、笑っていた。しかも、それまでの女の声でなく、老人のしわがれた声で。
幼竜が、ふいと姿を消した。
「……!?」
呆然とするイージー。占い師の口から、老人の声がいった。
「ヒョヒョ…あやつ、せっかく力まで与えてわしの悪戯の片棒担がせてやったに、しくじったて力を奪われよった。どれ、あやつの所にいってやろ」
と、消えた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す