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クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜
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クエストフォース〜竜キラーを目指す男〜 11

「そ…んな…?」
なんと、ヴィンの突きは紙一重で避けられており、逆に占い師の爪が脇腹に突き刺さっていたのである。彼女に取り憑いた『何か』の仕業だ。ヴィンの体がぐらりと傾ぐ。
「ヴィン!」
コハルミが叫び、ヴィンの救出に動いた。だが、占い師の掲げた指からコハルミに向けて一条の電撃が放たれる。
「危ねえ、長!」
手下の声に反応をしたコハルミは、咄嗟にしゃがみ転んだ
「チッ、殺してやる!!」何とか回避できたが、さっきみたいに何度も回避できるわけではない。コハルミの焦りが自分の『殺し』のスイッチが入った
スイッチを入れた途すぐに端占い師との間合いを詰めた助ける気がなければ元が人間だから簡単に殺せるとコハルミは自負していた首筋をナイフで切ろうとしたしかし、「完全に殺しちゃ…ダメだよ…助けなきゃダメだ」
床に倒れていたヴィンがコハルミに呟いていた
「……ッ!」
ヴィンの声で、咄嗟に対象を首筋から肩口に変えるコハルミ。しかし、占い師はその攻撃をも身を強引に捻ってかわす。コハルミのナイフは僅かに赤い筋を占い師の皮膚に刻んだだけに終わった。
『ギィィィィァァァァッ!』
占い師に憑いた『何か』が吼える。その声は衝撃波と共にコハルミ、そして周囲に展開していたギルド員をも吹き飛ばす。
「痛ぅっ……言わんこっちゃない、手加減してる場合じゃないわね。こいつの息の根を止めないと、恐らくこんな程度じゃ終わらないわ」
「それでも、や…やらなきゃならないんだ」
剣を杖代わりにして立つヴィン立っているだけでやっとという状態だ    「アンタ、何でそこまであの女のために動くのよ!」悲鳴にも似たコハルミの声がアジト内に響いた
「なんで、なのかな…ただしなくちゃいけない気がするんだ…あの人は、きっと悪い人じゃない…だから助けなきゃいけないんだ…」「たった、それだけのために…」
コハルミは愕然とした、同時に深い悲しみに叩き落とされた(このままじゃヴィンが死んじゃう…それだけはさせない)
「肉体さえ残れば彼女は助かるわ」
「でも、首を落としたり心臓を刺したりしたら…」
「どちらも滅びるでしょうね。あの女も、それに憑いた化け物も。正直、私にはあの女ごと倒す以外の方法が思い浮かばないのよ」
そう言って占い師を見たコハルミは、次の瞬間愕然とした。なんと、占い師は血の涙を流していたのである。
「こんな、こんな事って…」
「…まだ、あの人の魂は闘ってるんだ。助けなきゃ、ならないんだ」

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