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機動戦士ガンダムSEED Dα 閃光の少女
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ガンダムSEED Dα 閃光の少女 33

ガルナハン攻略の準備は進みつつある……それは誰もが感じていた。ユニウスセブン巨大破片落下事件に端を発し連合のプラント核攻撃失敗は十分な戦火を起こせる火種になったのだ。



スカンジナビア王国……前世紀に北欧三か国が統合して出来た中立国であり、オーブ侵略戦争後には難民を受け入れた数少ない場所である。アークエンジェルはスカンジナビア王国にある地下軍事基地に入港した、地政学上大国に隣接していた事もありこの様な地下軍事基地は点在し、兵器開発も活発になっておりオーブの難民受け入れで自国MS開発に弾みが付いたのだ。
「陛下……」
アークエンジェルの艦橋にあるメインモニターには年老いた感もあるが顔立ちが良い初老の男性はカガリを見て首を横に振る。ミナとの極秘会談でこうなる事は分かっていたのである。
「ー硬い挨拶は性にあわない、ようこそ……北欧の偽り楽園へ。歓迎するー」


スカンジナビア王国は前の戦争時には地球連合に加盟していたがユニウス条約に基づいて中立を宣言、しかし世界安全保障条約機構への参加を求められるもジョシュアに派遣された将兵の9割がMIAになり殉職……この事が国民にも反連合思想になり首都にある大西洋連邦大使館周辺は戦地真柄の荒廃、しかも国王陛下は大西洋連邦の大使に対して“ナチュラル安全保障条約機構”に国として参加する意思はないと告げたのである。この皮肉には大西洋連邦も硬化させている。
「まずはこの様な事に……」
貴賓室にて国王陛下に詫びるカガリに彼は首を横に振る、オーブの軍事機密であるMS技術を難民保護と交換して手に入れたからだ……。
「アスハ代表、わしはサハク代表の“天空の宣言”を支持しておる。そしてアスハ代表の想いを理解してくれる者もいる……ヤマト准将を初めとするな」
「はい」
「彼女がマユ.アスカ准尉か……」
「は、はい!!」
マユも緊張しており先程から固まっているが国王陛下は傍に置いてあった資料を机の上に提示した。
「ナノマシンの研究拠点が出来やすい地政にある国じゃ、アスカ准尉にあの時投与されたナノマシンはこの国にある研究機関で設計されスペースコロニーで試作、その後はメンデルにて量産化を目指していたが……」
「バイオハザート発生」
キラは呟くと国王が頷く。
「うむ、原因は分かっておらん。その当時居た者は表舞台から消えておる……名前を偽って潜伏しているがね……そしてユーラシア連邦に同時期に投与された少女がおる」
「フレイ……」
「彼女はユーラシア連邦に移住して今は士官候補生として軍に身を置いている」
カガリはフレイのデータを見て気が付いた。
「……コーディネイター」
「彼女の場合は胎児の段階で遺伝子疾患が発見され胎内でナノマシンを投与された」

ブルーコスモスの場合はコレでも迫害対象にするので厄介だ。最も彼女の場合は色々と隠せていたがそれも父親の死亡で無理になり、まだ緩いユーラシア連邦に移住したのだろう。
「このナノマシンは軍事にも転用出来る、資金面で大国が出資しているのもな……それに伴い安定した遺伝子発現をする為に人工子宮装置の開発にも金が流れ込んだ」
キラがピクっと手が動いた。それは両親が開発していた装置でありキラは実験台にされたからだ、そして両親の亀裂は表面化する前にブルーコスモスにより暗殺された。
「失礼、それで二人が離れて人生を歩むことになってしまい、戦火でアスカ准尉の人生を変えた。これは金を出した我が国にも責任の一端……」
「……」
すると国王の使用人が耳打ちすると国王陛下は言う。
「……あったのか、我が国の暗部を見せよう」


その場所は山中にあり、国王陛下は僅かな側近と共にキラ達を案内した。完全武装の兵士にスカンジナビア王国の国産MS“CATーS01 レオパルト”が配備、ストライク系を継承した陸戦主体のMSである。指揮官の先導を受けその場に足を踏み入れた瞬間にマユは驚く。
「へ、陛下!!」
作業をしていた兵士や科学者は直ぐに臣下の礼を取るようにするも彼は止めた。
「そのままでよい、どうじゃ?」
「エイプリルフールクライシスにより原子炉にて核反応が阻害され緊急停止、副動力として備えていた潮力やら地熱発電で如何にか腐敗せずに済んだといった所でしょう」
技師の一人も円柱状水槽に並ぶ胎児や実験体にされた子供らの標本に直視できなかった。
「大司教に連絡」
「陛下……」
「これも高貴たる家に産まれた宿命だ」
メンデルにあったのと同じ装置がここにもあったのだ。

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