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機動戦士ザク
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ザク 6

カメラアイ多数を装着し、ミノフスキー粒子下でもカメラアイの映像などによってAIが思考・判断して独自の操舵や戦闘を行いつつ突入し、搭載した核弾頭で自爆する、無人戦艦の準備は進められてはいた。
だがこうしたAI開発への風当たりも強かったため、AIの開発が遅れがちな上に、ア・バオア・クー近辺に達するまでは護衛も必要。
正直言ってワッケインだって頭を掻きむしりたい思いなのだ。

「すまんな……苦労を掛ける。護衛部隊については儂のほうで何とかしよう。将兵の休養と再編に手を尽くしてくれ。突入艦の準備は多少遅れても構わん」
「よろしいのですか?」

レビルの発言にワッケインは驚くが、そのままレビルは続けた。
「議会は報復を叫んでいるし、世論も同様だ。だが、成功してもさらなる報復が無いとは言い切れんし、失敗したら最早どうにもならなくなるだろう……。完全な準備ができるまでは決して実行しないよう、何とか各方面に手を打つ」
さらにティアンムも言う。
「艦隊の再編は、私に責任がある。君が思い悩むことは無い。何、防戦だけなら今の兵力でも可能だろう。あのビグ・ザムとかいうMAは機動性は低い。攻勢に投じるより、守勢に用いた方がその力を十分に発揮する兵器だから、守りに徹する限りはあまり恐れる必要はないと考えている」
「……ありがとうございます」
画面の向こうでワッケインが深く頭を下げる。
この時、ティアンムやレビルは、ワッケインが正直言って感謝と苦労の両方で泣きたいくらいの気持ちである事を察していた。
深く頭を下げていたので表情は隠れていたし、指摘しては彼のプライドを傷つけるだけなのでどちらも触れなかったが。

「頼む。儂らのツケを君や将兵一同に回している事は、本当に済まなく思う。だが、地球の為にも、防衛優先でよいので少しでも早く戦力を再建できるよう、手を尽くしてくれ」
「私からも、レビル閣下と同じく頼む。何とか防戦してみせる。だから、ジオンのような殺戮者どもに負けないために、将兵達の事を労わってやってくれ。そして、戦力の再建を急いで欲しい」

頭を上げたワッケインは、画面の向こうで両将が深く頭を下げていたのを見て、一瞬だけ驚きの表情を浮かべた後、決然とした表情になった。
ワッケインは、彼の生涯でこれ以上は無かったほど見事な敬礼をし、答えた。

「はっ!微力を尽くします」
「頼んだぞ」
「無理を負わせて済まん。私も何とか応えて見せる」

画面の向こうのレビルとティアンムも、答礼しつつ答え、通信を終えた。
この通信をしている間も、ホワイトベースは韜晦進路を取りつつ、ジャブローへと進んでいた。

「このままジャブローまで突っ切れるといいんだけどな」
「そう上手くいってくれるといいがな」

アムロの言葉に、ブライトも僅かに不安を覗かせていた。
急遽艦長になって以来、シャアやランバ・ラルとの戦いで艦を取り仕切って戦ってきた、その重責による心労が、今はレビルという上役が乗っている事で一種の安心感によるものか、声と表情に少しだけ出ているのだ。

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