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機動戦士ザク
その他リレー小説 - 二次創作

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機動戦士ザク 5

「逆にシャアを戦死させるか捕虜にするか……それによっては」
「アンダーソン伍長、彼は戦死は出来ないよ……常に引き際で撤退させている」
「アムロ」
「彼は戦争を利用している、ザビ家を滅ぼす為に」
「……ニューヤークでの戦闘を分析したのですが……少尉の考えも当てはまります。シャアの正体はジオン.ズム.ダイクンの遺児と言う分析もあるのですが、事故死してます」
「ノエル、仮によく似た人をそそのかせばどうなると思うか?」
マッドの言葉にノエルは言葉を失う。
「DNAでわかるのでは?連邦も各コロニーも健康診断や治療データベースがあります。ジオン・ダイクンの子供がろくな医療や保健を受けられぬ環境で育ったはずがありませんし、ジオン・ダイクンの社会的地位で医療や保健衛生に縁がないはずがありません」
「情報部はシャアのDNAも探っているが、まだ手に入っていないようだ。遺児だとしてもジオン側が気づかぬとも思いにくく、だとしたら何か意図があるのか…今結論を出せる問題でもないがね」

深刻な顔色は深まり、誰もが疲れを浮かべていた。

「あっ、通信が入りました。ティアンム提督からです」
レビルの表情は険しくなる、漸く情報部も事の重大さを理解したのだ。
『レビル将軍、苦労お掛けして申し訳ないです』
「うむ……我々はあの時点で間違ってしまったのだ。エドガワ.マスの遺体は?」
『確認されてません、シャア.アズナブルの最初のルームメイトもあの反乱で戦死されてます。マス少尉の云う通りならシャア.アズナブルの正体は……キャスバル.レム.ダイクンだ』
ミライはハッとする、そう彼女は今の戦争が始まる遥か前にジオン.ズム.ダイクンの遺児を見た事があるのだ。セイラ.マスの正体はアルテシア.ソム.ダイクンだ、情報部も気が気でないのも分かる……セイラもジオンの人間なのだ。
どういうことなのか、もう一度よく考えてみる。
まずミライの脳裏に浮かんだのは、何らかの政治的意図でシャアの正体を知りつつ利用している。もう一つは、誰かが…おそらくダイクン派の誰かが、キャスバルとアルティシアを生かす為にDNAデータベースなどにクラッキングをかけて改竄して、彼らの正体を隠した可能性。
そう考えると、シャアと共に地球を攻めていたガルマ・ザビの戦死も……

レビルとティアンムの会話は続いていた。

「ところで、どこまでなら守り抜ける?」
「悔しい事ですが、宇宙ではできる限りルナツーからあまり離れず、防戦に徹するよりないと考えます。さもなくば彼らはグリプス辺りのコロニーを奪い、再度のコロニー落としを図るでしょう」
「ワッケイン君はいるかね?」
「はっ!ルナツー基地に回線を繋ぎます」
「ワッケインです。レビル将軍、ティアンム将軍、どのようなご用件でしょうか」
画面に出た彼の様子からは、敗戦したレビルやティアンムへの怒りではなく、心中を察する様子がありありとうかがえた。

「君に頼みたいことがある。チェンバロ作戦参加部隊の残存部隊や、他の宇宙配属部隊。これらを再編・再建して、何としてもルナツーとグリプス一帯を防衛してもらいたい。例の鉄槌部隊の編制で忙しいのはわかるが、先手を取られたらもう一度地上にコロニーが落ちる」
「もちろんであります。しかし、護衛部隊の当てがつきません」

レビル、ティアンムの両将を前に、彼は請け合ったが問題も述べた。
「例の鉄槌部隊」というのは、装甲と機関を強化し、無人化した戦艦に核弾頭を積んで突入自爆させる特殊攻撃隊の事だ。撤退してきた残存艦艇の中から、居住設備の被害が著しい艦やMS運用能力付与改装を受けていなかった艦を選んで修理改装して、突入艦の準備が進められている。途中迎撃されないためには護衛部隊も必要になるが、こちらの編制は損耗して退いて来た部隊を迎え入れて再編成や休養、補充の手配をするルナツー側の手に余った。
補充兵の錬成教官として、一部パイロットや整備士を地上に戻したり、やることはあまりにも多いのだ。

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