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ブレスク!!
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ブレスク!! 31

「な、何でもないわよ。それよりも−−そう、アルトの好きな食べ物。さっさと教えなさいよ」
慌てて話を戻そうとするベル。そのあまりの不自然さに横にいたリフィーがやれやれといったかんじで肩を竦める。
「えっ、そ、そうッスね−−うん、ショコラ特製プリンなんか結構好きッスよ」


「−−と言う訳で再びショコラの厨房に来ました〜」
「いつの間にっ!?」
「じゃ早速アリスさん、お願いします」
急展開に驚くサラを無視してアリスに頭を下げるベルとリフィー。
「それは出来ません」
「えぇっ!?」
アリスの意外な言葉に思わずベルが声を上げる。
「それってベルに料理は無理って意味ですか?」
さらっと酷い質問をするリフィー。
「いいえ、違います−−実は当店のプリンはマスターの要望によりルカさんに作って頂いてるんです」
そうきたか……
三人の頭の中に共通の思いが巡る。
「でも絶対ルカにだけは頼りたくないわ」
「同感ね。悪魔に魂を売る様なモノだもの」
「って言うか悪魔より質悪いかも……」
いい加減にしないと怒りますよ、と言うベアトリクスの笑顔は当然の様に振り払われた。
「どうしようかしら…あっ、いい事をおもいついたわ!!」
そう言ってショコラを出ようとするサラ。
「サラっ!!待って、いい事って何?」
慌てたようにベルがサラにしがみ付く。
「ルカに頭下げてレシピを貰ってくるの。あの人もあたしが頭を下げれば嫌とは言わない…いえ、言わせないわ。大丈夫、料理の腕でも磨いて待ってて。」
サラは静かに微笑むと再びショコラを出て行った。
「……不安ね」
サラの後ろ姿を見詰めながら溜め息混じりに呟くリフィー。
「先生に借りを作るのが?」
「違うわ。今から貴女に料理の練習をさせるのが、よ」


「やれやれ、流石に今回は出番が無いと思っていたのですが……」
頭を下げるサラを前に誰にともなく呟くベアトリクス。
「何か言った?」
「いいえ何も−−それよりプリンのレシピ、でしたね」
そう言うのと同時に机の上の紙に文字が現れる。
「どうぞ」
差し出されたそれを手に取ると一通り目を通すサラ。
しかし、読むにつれてその顔に怪訝なものが浮ぶ。
「ちょっと! これじゃ普通のと変わらないじゃない」
「えぇ、材料や作り方は何の変哲も無いプリンですから。ただ−−」
「ただ?」
ベアトリクスが顔から笑みを消した為真剣な顔で一歩踏み込むサラ。だが−−
「−−作り手の腕が他のものとは全く違います」
「ハァ……ホントつくづく嫌な人」
中身の無い言葉に体の力が抜けその場にへたりこむ。
「ふふふ……何なら私が料理の先生をしましょうか?」
「遠慮しとくわ。そこまでさせたら後が怖いもの……」

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