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ブレスク!!
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ブレスク!! 23

「あっ……時間切れ」
アドラーが間の抜けた声を出すのと同時にその体が元に戻った。
「………………」
「………………」
しばしの沈黙と間。そして、
「アイゼ〜ン……」

勝者:アイゼンガー


「いよいよ、ね……」
そう呟くと手を振って歓声に応えるベアトリクスに静かに闘志を向けるサラ。
観客席からペインとトムが声援を送るが今の彼女の耳には届いていない。
「ルカ、あたし今の貴方には負けたくない。いいえ、負けない」
「それはサラさんとしてですか?それとも……」
意地の悪いベアトリクスの言葉を遮る様に先に仕掛けるサラ。
不意打ちにもかかわらず空を切る一撃。瞬間、華奢な体が高く跳ね上がった。
『サラちゃんっ!』
「うぅ……」
地面に強く叩きつけられて小さく呻くサラ。
「……まだ、終わりではないのでしょう? 私は貴女の気の済むまでお相手しますよ」
穏やかに告げると顔から笑みを消すベアトリクス。それに伴い会場全体を冷気にも似た威圧感が包んだ。
「(これが彼の……だけど)」
ゆっくりと立ち上がるサラ。その瞳は真っ直ぐベアトリクスに向けられている。
「今のあたしは…昔のあたしとは違う…貴方をただ追いかけてた女の子とは違うのよっ!!“氷桜”」
サラの言葉と共にベアトリスクに無数の氷が跳ぶ。
ベアトリスクは難無くそれをかわした。
「つくづく嫌な人…でもまだ終わらないわよ!?」
サラは力強く地面を叩き、砂埃で姿を隠す。
「いつの間にそんな芸当を覚えたんでしょうね?昔の貴女の方が可愛らしかったですよ。」
ベアトリスクは呟いた。
「煩いわよ、ルカ?お喋りする余裕なんてあるのかしら??“氷結束縛”」
サラはベアトリクスの両足を氷によって動かなく縛ると離れて立った。
その表情は何故か穏やかだった。

「サラ、棄権するよ。」
やなくはボロボロになった姿で呟いた。
「何故ですか?」
アリスは当たり前のように問う。
「根拠はない。ただそんな女だ。」
「私もそう思います。やはりペインのお嫁さんとして迎えなくてはなりませんわね?」
赤凪はやなくを見た。
やなくはさぁ?と静かに言うと視線を二人に戻す。

「ルカ…あたし、強くなった?」
サラはルカを見た。
「貴女は強いですよ。今も昔も。自信を持ってくださいといつも言ってたでしょう?」
「そうだったわね?ありがとう。…あたし棄権します。」
サラは笑って言う
アナウンサーは何が起こったのか、わかっていない様子。
観客一同も、サラの口から出た言葉の意味を理解出来ていない。
「棄権します。」
サラはもう一度言う。
当然の様に客席はざわめき出す。
「宜しいのですね?」
アナウンサーが最終確認を行う。
「しつこいわよ?またマイク壊されたいの?」
サラはアナウンサーをニラむ。
「勝者、ルカ・ベアトリクス選手」
アナウンサーはサラの視線を逃れるよう声を張り上げた。

勝者:ルカ・ベアトリクス
サラは満足したのか可愛らしい微笑みでペインとトムの元へと足を運んだ。二人はサラを優しく迎えた。

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