ブレスク!! 16
「アンタの分の登録も済ませておいたから」
「はぁっ!?」
驚きのあまり絶句するアルト。だが、
「何よ。文句あるの?」
「……ないっス」
ベルに睨まれうなだれる事しか出来なかった。
んで、大会当日−−
「さあ、今年もやってまいりました。第十四回マリンピア一武闘会! ゲスト解説には理想の上司ワースト1『気まぐれ大魔王』やなくさんと、接客だけは絶対やらせちゃいけない『氷の看板娘』アリスさんをお迎えしています!」
「はいはい、ヨロシク〜」
「……宜しくお願いします」
「あら?裏切り者、やなく…いらしたの?」
サラが馬鹿にしたようにやなくを見た
「ありゃ??ダレ?」
やなくは隣にいるアリスに問う
「見てわからないですか?まぁ、貴方の頭なら無理ないでしょうけど…」
アリスは平然と言い捨てると微かに笑う
「昔の名では雪…でも今はサラよ。お久しぶり」
「雪!?あの美しい黒髪はどこだ?」
「生まれ変わったの…」
サラはやなくのアホさに呆れていた
「サラ…。そうか…息子が言ってた惚れた女ってのはお前か…また面倒な奴を…」
「あら?彼は貴方の息子にしては男前よ。奥さんに似たのかしら?」
「あの〜、そろそろ番組進めちゃって宜しいでしょうか?」
アナウンサーが怖ず怖ずと遠慮勝ちに切り出す。が、
「……うるさいわね」
「あぁっ! そんな……」
当然の様にマイクを破壊された……
「ベル、やっぱりマズくないか?」
変神したアイゼンガーがベルにぼやく。
「良いじゃないの。どうせいつものヘタレアルトじゃ結果が見えてるんだから」
「そんな、あんまりっス……」
ベルのあまりの言い様に思わずアイゼンガーがアルト口調に戻る。とその時、会場が大歓声に包まれた。
「え〜、気を取り直して分からない方の為に大会の方式の説明をしますと、A〜Hのブロックに分かれて巴戦による予選を行い、その後各ブロックの勝者達による一対一のトーナメントによって優勝を決める、ということになっています」
そう言うアナウンサーのマイクはテープでぐるぐる巻きにされている。
「では、早速強豪ひしめく予選Aブロックが始まるわけですが……」
「そりゃあもちろんルカでしょ」
「……そうですね」
アナウンサーの振りに間髪入れずに二人が答えた。
明らかに参加者全員に包囲されるベアトリクス。
「ざっと二十人と言ったところですか?」
ぐるりと周りを見渡すと、やれやれといった調子で首を振る。
「へっへっへっ、いくらアンタが強くたってこの数が相手じゃ、なぁ。野郎共、行くぜぇ!」
『うぉ〜っ!!』
何故か仕切る悪人面の男の掛け声で一斉に襲い掛かる参加者達。が、
『……全然足りませんよ』
一瞬の内に一人を残し立っている者は居なくなった。
Aブロック−−
勝者:ルカ=ベアトリクス
試合時間:13秒