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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 10

昔、孤児院にいた僕に初めて人の暖かさを教えてくれたのが美空ねぇだった。
それから僕は美空ねぇを姉のように慕っていた。
だから別れる時はとても泣いてしまい、それから僕はこんな弱い僕になったのかもしれない。
僕は美空ねぇの弟でいたかったのだ。


ピンポーン。
雅の家を訪ねる。
しかし留守だった。
仕方なく僕は家に帰ろうとした時、初めて雅に会った山のほうで紫の光が輝いたように見えた。
僕は胸騒ぎがして、あの山へと向かった。
山の紫の光があった場所に着くと、雅がいた。
その姿はボロボロで、前に会った時の毅然さは無かった。
バチバチと鳴る紫電の音も弱く、まるで終わりかけの線香花火のようだった。

でも、それよりも前に―
雅が対峙しているのは美空ねぇではなかろうか。

見たこともないくらい冷たい表情で、蒼い瞳は…紅に光っていた。
そして美空ねぇの周りには蒼い炎がユラユラと揺らいでいた。
「これで終わりなの、雅?ガッカリよ……三姫として同格に呼ばれるこっちの身にもなって欲しいわ?」
「うるっ…さい…。まだよっ…」
「…少しは強くなったと思ったのに…ね」
美空ねぇは蒼い炎を纏った手のひらを雅に向けた。
「さようなら、紫電。これで終わりよ?いい?」
「やれるもん…なら…やってみなさいよっ…」
雅はもう避ける力も無く、その場に座っている。

ダメだ…僕はまた、何も出来ずに目の前のことに流されるのか。
こんなこと見てなかった、そんなとこにいなかったってまた逃げるのか。
僕はっ…………!!


episode 5
「princess -ヒメ-」


「ダメだ、美空ねぇっ!!」
気が付いたら雅を庇うように、二人の間に立っていた。
「静夢っ…えっ…馬鹿、どきなさいっ…!怪我どころじゃ済まないわよっ?」
「雅…ちょっと待って。僕は彼女に話がある」
「彼女…って……」
僕は美空ねぇを真っ直ぐ見た。
美空ねぇは鳩が豆鉄砲をくらったようにキョトンとしており、先ほどまでの紅い瞳もいつもの蒼い瞳になっている。
「しー……くん…?」
「うん、僕だよ美空ねぇ」
「あれ…なんでしーくんがここに…?あ…バレちゃった…しーくんに…」
「全部知ってる。僕の後ろにいる雅は……僕の友達なんだ。お願いだよ、美空ねぇ。止めてくれ」
あの美空ねぇが魔法使いだったなんて驚いた。
正直、怖い。
僕はお姫様を守る騎士でもないし、それどころか何も力がない平民以下だ。
でも、僕に出来ることはこれしかない。
「……はぁ…しーくん。ちょっと私とお話をしよっか。そうしたら…ここは引いてあげる」
「え………うん…分かった」
「なっ…なに勝手に決めてんのよ!」
「……雅、しーくんに救われたことを噛みしめなさい?でも今度は…例えしーくんがいても……私は貴女を倒すからね」
僕は美空ねぇとその場を去った。

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