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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 76

あの時もいきなり違う世界に「入れられた」ような感覚だった。
世界が砂嵐が掛かっているのか、それとも私の視覚に砂嵐が掛かっているのか。
その砂嵐が晴れると、そこはたった6畳の部屋で、真ん中にコタツにみかんにノートパソコン。
「あ、どうもぉ、はじめましてぇ」
そして、髪がボサボサでジャージ姿の虹風春がいた。


chattime
「worry」


「ダメよ」
「なっ!?どうしてですか!?私だって戦えます!」
「貴女はまだ傷が癒えてないの。行かせるわけにはいかないわ。協会の長として命令します」
「でもっ!!雅だけでアリスと戦うなんてっ!!」
「雅ちゃんはダブルマイスターよ。それに彼女は自分の役割をしっかりわきまえているわ。他の執行者が来るまで、上手く時間を稼いでくれるはず」
「それでも!行きますっ……私にも行かせてください!!」
「貴女達は……本当に貴女達は……。ダメよ。言うことを聞かないのなら私にも考えがあるわ?貴女がそう言ってこないとでも思った?」
「え……?」
「拘束班。今より青空美空を一時拘束。連れて行きなさい」
「ハッ」
「なっ!?封魔拘束!?嫌っ!綺羅綺羅世界!!私だって……戦え…っ…!!」


「いいのか?」
「ええ。美空ちゃんに限らず、三姫はどうしてこう……自らの命をなんだと思ってるのかしら。心配するこちらの身にもなって欲しいものだわ。それも……静夢ちゃんのトラウマかしらね」
「…………」
「守りたいと思った相手を守れずに、目の前で奪われていく。どれほど悔しかったのでしょうね……」
「俺にはその朝霧静夢が分からないからな。理解はできない」
「今はいいわ。理解できなくて。理解できるようなものじゃないもの」
「それで?俺の任務は?」
「……正門前に行って、雅ちゃんをフォロー。執行者が来るまでアリスを食い止めて」
「了解」
「思う存分やりなさい」
「ああ……」
「よろしくね。無事に帰ってきたらイイコトしてあげるわよ?」
「いらん」


episode 35
「witch  -マジョ-」

「ようこそぉ」
気だるい感じで虹風春は私に挨拶をする。
彼女はコタツの中に半身を入れた状態でカチカチとマウスでクリックしながらノートパソコンの画面を見ている。
やられてしまった。
虹風春も来ていたとは予想外だ。
虹風春(ニジカゼハル)。
ダブルマイスター・通称「電波妖精(フェアリーニート)」
魔法世界最強の空間魔法使い。
その容姿はまるで妖精を思わせるほど可憐。
と、聞いていたのだけれども。
正直、彼女は同じ女性として人前に出られる格好をしてない。どこにいったのよ、可憐は。
「虹風春……フェアリーニートよね……?」
「いかにもぉ」
「フェアリーニート、ここから出してくれないかしら」
「んん……zzzZZZ」
「寝てないで!!」
バンッとコタツを叩く。
「はわっ!?びっくりするなぁ……まぁまぁ、葉桜ちゃんもおこたに入りなさいなぁ?」
「このっ!……あ、あれ……?」
紫電が、出ない。
「魔法は使えないよぉ。そして私も実は実態じゃないんですぅ」
チラチラと彼女の姿がホログラムかのようにちらつく。
「だから、葉桜ちゃんはここからしばらく出られません。だから、ね?ゆっくりしなー?」
これが、最強と呼ばれた虹風春の空間魔法である。
普通の空間魔法使いなら、その術者も自身が操る空間内に居なければならない。
そして初めてその空間魔法を制御できる。
しかし、彼女はその常識を初めて覆し、空間魔法外に居ながら魔法の制御ができる。
この空間魔法を使えるのは彼女だけである。
この空間魔法はなにが強いかと言うと、閉じ込められたら何もできない、ということだ。
後は彼女が出してくれるまで待つしかない。
「フェアリーニート、お願い、ここから出してくれないかしら……?」
「アッシュさんから貴女は出してはダメと言われてますぅ」
どう……する……?
頭をフル回転させ、対抗手段を考えるも、答えは出なかった。
本当にこの空間魔法はお手上げだ。
対フェアリーニートの策は考えていなかった。
冷静になれ。
事態は逼迫していて、決して良くもないけど、頭に血を昇らせてもここでは意味がない。
なら、魔法協会は新しいダブルマイスターと執行者に任せよう。
私は私のやれることをするだけだ。
「フェアリーニート、少し質問させてもらってもいいかしら?」
「どうぞぉ」
「リオ・アリアナイト……って知ってる?」


葉桜雅は予定通り虹風春が閉じ込めた。

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