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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 75

同時にワンちゃんからの魔法通信が入る。
「どうしたの!?」
「敵襲よ!手を貸してくれるかしら!?」
「もちろん!敵の規模は!?」
「ただ一人よ」
「誰っ!?」
「アリス・ヨルトセッドよ!」


chattime
「Phase1 End」

「お兄様?今日は機嫌がよさそうですわ?」
「ああ、リオが目覚め始めた」
「まぁ!?それでは計画にまた一歩近づきましたわね?」
「そうだな……予想よりも早いが、概ね順調だ。フェイズ1の最終準備はどうだ?」
「もちろん順調ですわ?いつでも可能ですのよ?」
「そうか……フェイズ2に入ったらもう戻れない」
「お兄様……それは、言わない約束ですわよ?自分たちの信じる未来を突き進む、です」
「……そうだな。よし、朝霧は変な行動を見せてないか?」
「ええ。フェイズ2になっても、彼があのままなら、それはそれでいいですわ?」
「物好きだな、アリスも。じゃあ頼まれてくれるかアリス?」
「なんなりとお申し付けください」
「フェイズ1を終わらせる」
「承知しましたわ」
「ハル、お願いできるか?」
「はぁい」
「葉桜雅の動きを封じて欲しい」
「分かりましたぁ」
「頼んだぞ」


episode 34
「intruder  -シンニュウシャ-」


その名前を聞いて、血の気が引いた。
今から数時間後、ここは死体の山になっている光景を幻視する。
ブンブンと頭を振り、嫌な想像を払拭させる。
「ワンちゃん……私が迎撃する」
「今、任務に出てるマーくんと神探しをしていた二人の執行者を呼び戻すわ。それまでは新しいダブルマイスターを呼んでおくから!」
執行者が来るのはありがたい。美空はまだ現場復帰は無理だろう。
後は新しいダブルマイスターとやらが使えるかどうか……。
「新しいダブルマイスターってどうなの?私、まだ会ったことないんだけど?」
「本人のやる気次第なところがあるのだけど、いい男よ!」
「そんなこと聞いてないわよっ!」
「雅ちゃんはまだまだ子供ねぇ?いい男ってことは、やる男、ってことよ!」
いまいち理解はできないが、やるしかない。
「とりあえず私は正門前に行くから、他の人達は下がらせておいて!」
「分かったわ!お願い、雅ちゃん!無理はせずに、執行者が到着するまで持たせて!」
「了解!」
バチッと雷化して、一瞬で正門前へと辿り着く。
途中、傷ついた兵士たちがタンカで運ばれてる様子を見て、涙が出そうになるが、我慢する。
私はもうダブルマイスター。
泣いてなんかいられない。
正門前に着くと、まるで私を待っていたかのようにアリスがいた。
「ごきげんよう、葉桜さん」
スカートの端を持って挨拶をするアリス。
対峙するのはこれで三度目だけど、相変わらず恐怖で心が震える。
「一応、聞いておくけど、魔法協会に何の用よ?」
少しでも会話を繋いで時間を稼ぐ。
悔しい限りだが、私だけではまだ彼女に勝てない。
美空の話を聞く限り「闇」を出した彼女の魔法は異常だ。
「……私たちに必要なものを取りに来ました」
「必要な、もの……?なんのこと?」
「それはお答えできません」
それほどに、大事なものがここに?
かつて、アイマと呼ばれた本が今やシズムという本になっている。
それが魔法協会の中で一番大切なものだけど……いまいちピンとこない。
しかし、その必要なものがないと目的を果たせないことを意味する。
ということはだ。
まだこちらにも反撃の目はありそうだ。
「葉桜さん、ダブルマイスターになられたと聞きましたわ?」
ふいに、どこから聞いたのか私の話をし始めた。
「え、ええ。おかげさまで。なによ?いきなり……」
「いいえ、昔、プルプルと震えていたのに、私、少し感動していますのよ?」
クスクスと笑いながらも彼女はこちらを見つめる。
正直、見つめられるだけでもまだ怖い。
でも私はあくまで毅然に答えなければいけない。
私が目指すダブルマイスターとは、そういう存在なのだから。
「皮肉をどうも。生憎、まだまだ成長中なのよ」
「そう。でも、そうね、だとしたら残念だわ。ここで貴女は念願のダブルマイスターになったというのに、なにもできずに指を咥えて見てることしかできないのだから。それが一番あなたにとって残酷ですわ?さてさて、じゃあおいでなさい。貴女の相手は彼女よ?」
アリスの声に反応して身構える。
しかし、もう遅かった。
景色がずれた。
いや、正確に言えば違う空間に取り込まれた。
私という存在がこの空間から別の空間へと移動させられた。
この感覚は覚えがある。
玩具箱の空間魔法も、こんな感じだった。

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