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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 71

日本のある県のある村に、孤児院ホロウワールドはあった。
途中、村人の人に声を掛けられたが、ほとんどの人に止められた。
昔、あそこに居たんです、と答えたら逃げるように避けられた。
どうやら禁忌の存在のようだ。
今や廃屋になっているそこは、厳重に鍵が掛けられている。
「ちょっと失礼します」
ヒョイと飛び越える。
その敷地内に入った瞬間に、魔力の残滓を感じた。
どうやら現実世界に似つかわしくない場所のようだ。
もはや朽ちている玄関から屋内へと入る。
意外と綺麗(と言っても廃屋だが)に残っている。いわゆる荒らされていない。
「ま、こんなとこ怖くて誰も近づかないか」
廊下を歩くたびにギィと軋む床にこの孤児院の時代を感じる。
さて、どこから手をつけようか、と思っていたら視界に「せんせいのへや」を見つけた。
まずはそこからか。
部屋へと入り、散らばってる資料に目を通す。
15分ほど探すと、この孤児院に住んでいた子供達のリストを見つけた。
そのリストに目を通す。

19XX 在籍
アッシュ・ヨルトセッド
アリス・ヨルトセッド
リオ・アリアナイト(取り消し線で消されている)
青空美空
虹風春
永久乃童子

「……今のダブルマイスターのオンパレードね。まさか電波妖精もここにいたなんて」
電波妖精(フェアリーニート)、虹風春(ニジカゼハル)。
しかし、聞き覚えのない名前が一つある。
リオ・アリアナイト……誰だ?
美空に聞けば分かるだろうか……?
それに朝霧静夢の名前もなかった。
前に美空に聞いたときは、静夢は後から入ってきたと聞いていたから、リストが古いだけだろうか。
しかし、肝心の資料がない。
アッシュがなろうとしている「創造主」の資料でもないものか。
その後、1時間ほどして、ある絵本を見つけた。
なんでその絵本が気になったかと言うと、この絵本だけ「埃がついていない」。
しかも、手作りよこれ。
タイトルは「ヒーロー」。
パラパラと読む。
中身は、ざっくり言うとある男の子が魔女から禁断の力を手に入れて、世界を救うという物語だ。
そして最後のページ。
そこで私は驚いた。
「著者……アッシュ・ヨルトセッド!?」
……なによ、これ。
物語の核心に触れた気がして手が震える。
今度は最初から読み返す。
ある男の子が両親を戦争で亡くし、その恨みから村はずれに住んでる魔女に禁断の力をもらう。
その禁断の力のページが欠落してしまっていて分からない。
最終的には戦争をなくして平和な世界をつくる、で終わってる。
この絵本……怪しすぎる。
だってこの絵本の挿絵に出てくる男の子とその妹はアッシュとアリスそっくりなのだから。
急いでこれを持って魔法世界に戻ろうとした時に、魔法世界のワンちゃんから通信が入る。
「雅ちゃん!」
「なによ?」
「美空ちゃんが……目を覚ましたの!」
「本当!?すぐ行く。こっちもいいの見つけたわよ、戻ってから話す!」
「ええ、気をつけて戻ってらっしゃい?」
美空が目を覚ましたことで、ホロウワールドについても聞ける。
リオ・アリアナイト……そしてこの本。
去る時に少しだけ、朝霧静夢の痕跡を探す。
彼については何もなく、本当にここにいたのかも不思議なほどだった。
「本当に……孤独なんだから……」
寂しさを感じつつも、私はホロウワールドから出て、魔法世界へと戻ることにした。


episode 31
「wake up  -メザメ-」

魔法無効化槍エクシーヴァを手でバキバキと壊したアリスは、何かを呟いた。
同時に、目の前の少女が変化した。
いや、変化したというと少し違う。
容姿は変わっていない。
変わっていないが、まるで闇を羽織っているかのように黒い魔力が漏れている。
「規格外破壊という名前、割と気に入っているのよ?的を得ていると思うし、自分で言うのもあれだけども、やり過ぎてしまう私にぴったりだと思いますわ。でもミク、貴女は殺してはいけないと言われてるの。だから加減は難しい」
「殺してはいけない……?どういうこと?」
「それは秘密。でも殺してしまったらごめんなさいね?なんと言っても、私、久しぶりに魔法を使いますわ」
やはり、今までのはただの槍術。
まだ彼女は魔法を使ってない。
ここで待つ必要はない。
先手必勝で蒼炎を彼女へと放つ。
しかし、私の蒼炎は阻まれた。
「実は、貴女達の魔法を羨ましくもあるのですわ。その……とても綺麗だと思いますの。それに比べ私の魔法は女の子が使うものとしては、とても暗く、冷たく、残酷なので……」
彼女の周りには、何も無かった。

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