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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 67

「葉桜雅…貴女をダブルマイスターと認めます」
そっと彼女に近づいた。
すると彼女は立ち上がり、涙を拭ってから振り返った。
「当たり前でしょ。私は紫電の戦乙女の娘なのだから」
もう涙はなかった。
紫電の戦乙女の娘、という言葉には今までにないほどに自信に充ち満ちていた。
その瞳は強く、いつもの彼女がそこにはいた。
「そうね。二つ名は「菫色の稲妻(ライトニングオブアメジスト)」。貴方の母親が付けた名前よ?」
「母が……ありがとう、お母さん…」
彼女は目を閉じゆっくりとその名前を噛み締めた。
「雅ちゃん、もう、戻れないわよ?いいのね?」
「覚悟は出来てるわ。というか、もう行くわ」
「玩具箱のところね?気をつけてね、ダブルマイスター歴なら、彼の方が断然上よ。危ないと感じたらリルカちゃんを連れて撤退しなさい?いいわね?」
「ええ。ありがとうワンちゃん。えーと、その……ちょっとかっこよかったわ」
「可愛いって言って欲しいわ!んもう!」
「くすっ…それは私より可愛くなってからね?ありがとう、いってきます!!」
バチッと彼女は雷速でリルカちゃんのところへ向かっていった。
彼女が消えてから、涙が頬を流れた。
私は約束を破ったのだ。
紫電の戦乙女、葉桜あやめとの約束を。
母親としては危険な目に娘を合わせたくなかったのだろう。
封印を解く手伝いをしないで、と、あやめには言われていたのだ。
でも。
でもね、あやめ。
手伝わずにいられなかった。
彼女のひたむきな姿を見ていて、私は……いや、俺は止めることはできなかった。
すまない。
危険な目に合わせることになるだろう。
たくさんの困難が彼女に降り注ぐだろう。
でも、彼女はそれさえも覚悟して、封印を解いた。
あのまっすぐな瞳に、俺は負けちまったんだ。
いいだろ、死人に口なし、文句を言うな。
信じろよ、自分の娘をよ。
……さてと、魔法世界に戻るか。
私に戻り、魔法協会の長に戻る。
別にダブルマイスターにならなくてもいいと思った。普通の女の子でもいいと思った。
でも運命は、彼女に戦いの道へと誘った。
星が瞬く夜に、一人のダブルマイスターが生まれた。
キラキラしてる星達に願おう。
彼女に、幸多かれと。


chattime
「notice」

「朝霧」
「……アッシュさん」
「ふ…軟禁になったとは言え、敵である俺にさん付けとは、な。変わったな」
「はぁ……?」
「ところで朝霧、手紙を出しただろう?」
「……っ……はい」
「今回は許す……が、次やったら殺す。いいかな?」
「……分かりました」
「相変わらず私の眼をすり抜け……ん……葉桜雅がダブルマイスターになったか。気付いたか?」
「え?いえ……」
「……そうか。玩具箱もこれで終わりだな。ま、予定通りだ。これからフェイズ1に入る。ではな朝霧」


episode 29
「End of Dream -ユメノオワリ-」



私、リルカ・ナインスの魔法は、簡単に言えば自分のリモコンを持っているようなものだ。
上下左右前後、どの方向でも体を好きに動かすことができ、最大9倍速、速くすることも、遅くすることもできる。
それが魔法で、剣技は自前だ。
剣には自信がある。
日本のある流派で習った剣技だ。
自信というか、魔法で負けてもこれだけは譲れない。
いわゆる一つの魔法剣士というやつだ。
炎の剣、というカッコイイものは出来ないが、魔法をサポートで使ってるのは間違いない。
使い方によっては、宙に浮いてるようにも見えるし、竜も倒せるし、蜂がいくら飛んでこようと斬り落とせる。
遅い攻撃は基本的に私に当たらない。
なので硫酸とか言われても避ければいい。
しかし、問題なのは、私の魔法がバレた時だ。
言ってしまうと、体を自由に動かせる剣士なだけ、なのだから。
もちろん普通の魔法使いであれば、私の魔法に気付かれる前に斬り伏せる。
だが、今回の相手はそうはいかない。
ダブルマイスター、玩具箱。
夢の国に浸かった悪魔の箱だ。

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