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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 59

シーソーの乗った方に必ず傾く存在だ。
その紫電の戦乙女も誰かに殺されてしまった。
誰がやったかは誰にも分からないらしい。
公式発表では病で倒れたとなっているが、実際は違う。
そんな存在がまだいると思うと身震いするが、とりあえず今はこの娘を手に入れただけで良しとしよう。
葉桜雅。
神とまで言われたダブルマイスター、紫電の戦乙女の娘。
よく見たら可愛いじゃないか。
性格は少し難があるが、そんなのはいくらでも調教できる。
身体つきもいい。
好きなようにさせてもらおう。
「玩具箱を発見、執行します」
と、囁くような、しかし凛とした声が聞こえた。
それは上空からだった。
見上げると女が浮いていた。
何かの資料で見覚えがある。
リルカ・ナインス。
マーク・アイビセルダム、青空美空と同じ執行者だ。
執行します、というのは殺す、と同じ意味だ。
急に宙に浮いていた彼女の姿がぶれ始めた。
パンドラボックスに魔法を込め、彼女の正確な位置を把握するセンサーとその攻撃に連動して防御するツールを展開させる。
キキキン!と展開させたツールはせわしなく動いたと思えばすぐに壊れてしまった。
壊されてしまった。
彼女の斬撃は数にして3回。
それを一瞬で斬りこまれた。
パンドラボックスに魔力を込め、今度はありったけの防護壁を自動展開させる。
次に、またもやありったけのガトリングガンを用意する。
防護壁もガトリングも俺の周りをお互いに干渉しないように浮遊する。
防護壁は彼女の攻撃に合わせて自動で俺を守り、ガトリングガンは彼女の動きに合わせて自動で攻撃する。
攻守において全て自動、まさにフルオート。
これがパンドラボックスの戦い方である。
「ちっ」
彼女は小さく舌打ちをした。
「もう遅い。俺に挑んだことを後悔するんだな」

ガトリングガンは一斉に照射される。
その轟音の中、彼女の姿はまたぶれた。
そう思うとガトリングガンは全て破壊されていた。
ガトリングガンはバラバラと破片になって落ち、その中心に刀を構えた彼女が立っていた。
「別に後悔はしてないわ。ダブルマイスターに挑むのは初めてじゃないし」
「ほう?勝てないと分かってるのにか?」
「勝てない?勝てないと思って挑むのは馬鹿がやることよ」
「ということは、勝てる、と」
「いちいち説明しないと分からないのかしら?」
この女、癇に障る言い方をする。
いいだろう。死にたいのなら手伝ってやろう。

パンドラボックスに魔力を込める。
取り出すものはドラゴンの王・バハムート。
「出ろよ、バハムート!」
バハムートは空を割り、雷を降らしつつ現界する。
「貴方、ここが現実世界ということを理解してるのかしら」
「知らないよ、そんなことは。君のせいだ」
「貴方って成長しないのね」
「黙れよ!いけっ、バハムート!」
ドラゴンの王は雄叫びを上げる。
その翼を動かすだけで突風に近い風が吹く。
「ちっ、さすがに面倒ね。ひとつふたつみっつ、よっつを超えていつつ、むっつ繋いでななつ、やっつめが出た頃には、ここのつ」
彼女がなにか呟いた。
呪文詠唱か?
しかし関係ない。バハムートへの命令はひとつ。
彼女を殺せ。

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