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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 57

言葉を遮るように紫電を向けたがそれも届かない。
今の紫電は、とても弱々しかった。
「話を戻すとだ。君の技は母親そっくり。以前の魔法大戦時、君の母親の対策がどれだけ練られたと思う?その時の先人達の努力のおかげで、もはや君がどんな魔法をしてくるかは手に取るように分かるんだ。更に、母親ほどの威力もないなら、結果がどうなるかは君でも分かるはずだ」
「…っ……」
徐々に私のメッキが剥がされているかのように感じた。
母親の真似事、と言われたことに言い返せない。
だって私の師はお母さんなのだから。

お母さんの技を引き継ぐのが娘の役目だと思った。
でもお母さんの技は、お母さんが使うから技になるのであって、私が使ってもそこまで凄い威力にならない。
そんなこと、言われなくても分かっている。
「ああぁぁぁ!」
がむしゃらに紫電を叩きつけた。
力任せに、何も作戦もなく、まるで子供が駄々をこねるように。
でもそのいずれも玩具箱には届かない。
ただいたずらに魔力を消費するだけだった。
「はぁ…はぁ…っ……」
「気が済んだかい?魔力は有限だ……敵を前に今の行動は自ら死亡フラグを立てるようなものだ」
「うるさい……」
「本音を言うと、僕はそんな君が好きだ。母親の真似しかできないのに姫と持ち上げられ、結局はその名前に負けていく。そんな矛盾だらけの君が好きなんだ。辛いだろう?もう母親を真似るのは諦めろ。その諦める瞬間を僕に見せてくれ。君が崩れる瞬間を見せてくれ。大丈夫、僕だけは君の味方でいてあげるから」
玩具箱が弱々しくなった私に近づき、私を抱き締めた。
そして悪魔の囁きをする。
私は抵抗もしなかった。
分からなくなった。
なんで……私は魔法使いをやってるんだろう。
玩具箱が何か言ってる気がするが、もう聞こえない。
それどころか周りもよく見えない。
私は、いったい、どうしちゃったんだろう。
壊れて、しまったのか。
何もない世界に放り込まれたかのようだった。
「壊れたか。ま、遅かれ早かれ壊すつもりではいたから好都合だ。破壊があって創造がある。昔の人はいいことを言った」
沈んでいく。
私の心は、大きな海に落とされた小石のように、底につくまでどんどん沈んでいく。


chat time
「promise」

ー 十数年前 ー
「ねね!ワンちゃん!」
「ワンちゃんじゃなくてワンダーちゃんよ、紫電の戦乙女」
「あら?ワンちゃんのほうが可愛いじゃない?」
「私は犬は嫌いなの。好きなのは猫と可愛い女の子、じゃなくて何の用よ?」
「あのね?雅が紫電を出し始めたの!」

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