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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 56

そのスピードに乗って殴る。
第二の技、雷突。
私は玩具箱の視界から消え、背後からハイスピードで殴りかかった。
「無駄だよ」
しかし、それも阻まれた。
玩具箱は死角から、それも目で捉えきれないスピードで迫ってきた私の拳を正確に受け止めた。
「なっ!?」
慌てて手を振り払い飛び退く。
経験上、今のタイミングで倒せなかった奴はいないため驚いた。
「諦めたらどうだい?僕は一応、ダブルマイスターだ。君の憧れの存在だと思うが?」
「私の憧れてるダブルマイスターはアンタみたいのじゃないわよ」
「それは君の母親の事を言っているのかい」
「そうよ。アンタみたいなダブルマイスターになったって嬉しくなんて…」
「無理だね。君には悪いが、君があの紫電の戦乙女のようになれるとは思わない」
「なっ!?それは分からないじゃない!」
「ああ、言い方が悪かったね。まぁ僕は紫電の戦乙女に会ったことはないけども、どんな人だったかは聞いたことがある。魔法協会の中で神と同等以上の力を持ち、一度戦場に立てば、空は曇天になり、紫電が降り注ぎ、気がつくと戦は終わってるという」
「それが何よ!?」
「今の君にはそんな強さ、一つも感じられない。悪いが母親の真似事をしてるだけに見える。親の七光りを、いつまで見せびらかせるつもりだい?」
泣きそうだった。
それは、見事なまで当たっていて、誰にも言われたくないことだったから。
私の母親は凄い。
だから私も凄い、なんてことはないのだ。
確かに姫、と言われ、美空とクーリャを合わせ三姫と呼ばれた。
でも私がそう呼ばれたのは、母親が凄かったから。
みんな私に期待した。
だから私もその期待に応えるよう頑張った。
でも、私には、秀でるような才能はないのだ。
魔法のテストもいつも満点。
筆記も実技もだ。
でもそれは裏で努力してきたから。
誰にも気づかれたくない、私の秘密。

それがみんなにバレてしまうのが怖い。
みんなをガッカリさせてしまうのが怖い。
私が積み上げてきたものが、全て壊れてしまうのが怖い。
「周りの期待に応えようとする気待ちは美しきことだ。だが、誰しも限界がある。才能がある。努力で越えられない壁がある。次にそこを越えられる保証はない。いつまで頑張り続けるつもりだい?」
「やめて……」
「辛いだろう?君は今までよく頑張ってきた。普通の女性として生きてもいいんじゃないかい?誰も責めないよ。みんな優しいから。許してくれるよ。過度な期待をしてた周りがいけないんだ。君は何も悪くない」
「やめてっ!!」

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