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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 53

「お邪魔するわ」
「ふぅ、あまり年寄をハラハラさせんでくれ。いつ気づかれるかと肝が冷えたわい」
「気づかれないわよ。誰だと思っているのよ」
「その自信はどこから……まぁよい。なんの用だ、クドリャフカ・ユーフォリア?っと、その前に、葉桜雅を助けに行かなくていいのか?」
「なんで私が助けに行かなくちゃいけないのよ」
「最近の若者は友情とか無いのかのう」
「それよりも、用はただひとつよ。そろそろ隠居されたらどうですか?先ほどもおっしゃっていたではないですか?」
「む。それは……」
「だから、四大魔法「悲恋」を私に教えてくださらないかしら?」
「小娘が……笑わせおる。確かに「秩序」から繰り上げになった今、後継者を探しておる。が、こんな小娘に教える気は毛頭ない」
「あら?私のどこがご不満かしら?」
「不満とかではない。お前にはまだ無理じゃ」
「それはやってみないと分からないわ?」
「分かる」
「なら教えてもらうまで、ここに住むわ」
「は?」

「ちょうどいい、しばらく身を隠したいと思っていたの」
「ちょ、ちょっと待て!何を言っている!?」
「ここに住むわ」
「ダメだ」
「なら教えなさい」
「……ダメだ」
「なら住むわ」
「くぅ……」
「むしろ喜んでもらいたいくらいなのだけど?こんな美女と一緒に住めるなんて」
「いやいや、ふん、爺だからって舐めるなよ?いつ狼になるか分からんぞ」
「あらあら……すみません、御高齢なのでそちらのほうはもうすっかり尽きてしまったと思っていたのですが、まだ現役なのですね?」
「ふん、怖気づいたか?」
「いいえ?ただ、悲恋主義者は紳士で有名、と聞いていたので……これでは情報と違いますから、正しい情報を世に拡げなければいけない、と思って」
「はぁ……」
「深いため息をすると幸せが逃げますわよ?せっかく美女と一つ屋根の下で住めるのですから」
「うるさいわい。住むのはいいが、教えんぞ?」
「ありがとうございますわ、御爺様?」
「ところで、クドリャフカ」
「クーリャ、とお呼びください」
「クーリャ、家事とかできるのか?」
「なにもできませんわ」


episode 26
「be different than before -イゼントハチガウ-」


久しぶりに現実世界に来る。

時間帯が夕方のせいか、街が赤く染まる。
学生やサラリーマンが家路を急ぐ風景は見ていて何処か懐かしい気持ちになる。
そういえば私もお母さんが家に帰ってくるのを待っていたっけ。
空が赤く夕焼けに染まったら、お母さんが帰ってくる合図だった。
でも……あの日だけはお母さんは帰って来なくて、とっぷりと日が暮れ、街全体が静かになりかけた時に警察の人が来た。
お母さんは、もう帰って来なかった。
「お母さん……」
無意識に、母を呼んだ。
もちろんそれで何かが変わるわけではないし、ましてやお母さんが帰ってくるはずもない。
ただ、なんとなく、姿は見えずとも側にいて欲しくて。
あの日以来、母を無意識に呼ぶことが癖になった。
もういないのだから、いつまでも頼ってはいけないから、直そう直そうと思っている癖。
でも一向に直らない。
それは私に直す意思がないからなのか、それとも……。

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