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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 50

友達、なのだから。
そこにそれ以上も以下もない。
助けようと、身体が動く理由としては充分なのだから。
「…う……」
すると背中に担いでる静夢の声が聞こえた。
「静夢?大丈夫?私の声が聞こえる?」
「あ……誰…?」
「雅、葉桜雅よ?分かる?」
「ああ、葉桜さん…どうしてここに?」
「貴方を助けに来たのよ!」
「僕を…助けに…?」
「そう!美空と、クドリャフカと一緒に!」
「あ…そう、ですか……葉桜さん、ダメです。作戦は失敗してます」
「どういう…こと…?」
あまりにもはっきりと言われたので立ち止まってしまった。
「分かるんです…おそらく青空さんはアリスに負けてしまいました。ユーフォリアさんはアッシュに拘束されています」
「なんで…分かるのよ…?」
「僕はシズムだから……この物語そのものだから」
悲しい目で彼は悲しい目で俯いた。
物語そのもの、ということは過去から今に掛けて、リアルタイムで彼は全て世界の一つ一つを把握できてるいる?
それはもう…神様みたいなものじゃないか。
「あ……」
静夢が何かに気付いたかのように声を漏らす。
それに遅れて、私も気付く。
「君が葉桜雅かな?ほう、確かにお母様に似てるな。私はアッシュ、アリスの兄だ。よろしく」
振り返ると、そこにはアッシュという男とアリス。そして全身血塗れの美空と、クドリャフカがいた。


「っ…み、美空は…」
「大丈夫だ、まだ生きてる。かろうじて、だが。すまないね、アリスは遊び過ぎる癖がある」
「申し訳ございません、お兄様…こと破壊になるとアリスはブレーキが壊れてしまいますの…」
「いいんだ、アリス…少しずつ直していえば。ちなみにクドリャフカくんは健在、何も傷付いてない。今は魔法の効果でただ操り人形となっているがね?」
美空の容体が気になるところだけど、今はこの場をどう切り抜けるか考えなければいけない。
ていうか、切り抜けるも何も、絶体絶命なのだけど。
「雅くん、交渉しないか?この二人の姫と、朝霧静夢を交換しよう。交換後、お互いがお互いに本拠地に戻るまで危害を加えないという条件付きでだ」
「そ、そんな条件…!信じろって言うの!?」
「信じるも何も、それしか君には選択肢がないはずだ」
「貴方達、二人とも倒してみんな連れて帰るっていう選択肢もあると思うけど?」
「雅くん、大人になりたまえ。それは現実的かい?それに、私達も君を殺して、後ろの二人も殺して朝霧静夢を取り返すこともできるんだ。これでも相当、譲歩してる条件のつもりだが?馬鹿じゃないなら分かるだろう?」
分かるわよ、そんなこと!
分かるけど…分かるけど、そんなに機械的でもないのよ私はっ!
「葉桜さん、僕はいいから…あの二人を」
「あ、アンタこそ何平気な顔してるのよ!!せっかく……助けれたのに…!」
「うん、ごめん。でも、僕のせいで誰かが死ぬのは嫌なんだ…」
その言葉は、朝霧静夢がよく言っていた言葉だった。


いつもいつもハズレばかり引いて、誰よりも辛く悲しい過去を背負っているのに、誰よりも優しい、昔の朝霧静夢と何も変わらない朝霧静夢だった。
「アンタ……っ…ごめん、本当にごめん、アンタならすぐに許すと思うけど、私は許されたと思わないから。だから…また、必ず助けに来るから……絶対に」
「うん…ありがとう…大丈夫、君の気持ちは受け取った」

「アッシュ、交換条件を飲みます」
「そうか、助かるよ、私達も朝霧静夢に危害が加えられると困るからね。君ならそういうことをしないと思うが、万が一のために保険としてこんな譲歩した条件にしたんだ」

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