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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 49

「見に来ただけ、ならもう見た思いますので、消えてくださらない?と言いますか、あと5秒以内に消えるなら攻撃しませんが…」
「そうか、なら……運命」
「……っ…!?」
すぐに違和感に気付く。
身体が、動かない。
「四大魔法の1つ、運命を君に掛けた。魔法が解けるまで君は身体を動かせない」
聞いたことがある。
四大魔法、運命。
その魔法は人の身体を自由自在に操ることができるという反則みたいな魔法である。
掛けられた者は意識をそのままに、掛けた者の指示に従順に従う人形となる。
まさに操り人形。
あまりに危険すぎる魔法効力からか、大魔法とされ、魔法発動方法などを魔法協会が封印。
使えるものは数少ないもののみになった。
「さて、これでクドリャフカくんをじっくり観察できるな」
アッシュが私に近付く。
でも、私は何もできない。
「運命を解除しようとしてるね?それは少し難しいかな?確か狂血鬼でも無理だったはずだ。ダブルマイスターなりたての君には無理かな?…美しい髪だ…絹のように美しい…」
アッシュは私の頭を撫で始める。
嫌悪感しかない。そして徐々に恐怖を感じ始めて来た。
私は、これから、何をされるのだろう。
「顔も美しい、小さく、整っている。眼が美しい。そして…この唇が美しい」
アッシュは人差し指で私の唇に触れた。
「怖いかい?ごめんね…でももう少し我慢してくれ、君には役割があるからね。これ以上君に危害を加えることはないよ」
私の唇から人差し指を離すと、笑顔でそう言った。
なんにせよ、私は何も出来ない人形になった。
退路も確保できず、そのうえ危険も知らせることも出来ない。
何をされるか分からない恐怖感と、何も出来ない貧弱さに吐きそうになるも、それも許されない運命にあった。

朝霧静夢。



世界、に関する魔法を使う彼はもういない。
今は魔法発動もできず、記憶をなくしたただの青年となっている。
しかし、世界を変える魔法をいつまた使えるようになるか分からないという理由だけで魔法協会最深部にて幽閉されていた。
世界の記録、アイマはもう無く、新しい世界の物語、未来が決められていない世界の物語、シズムが新しい魔法世界の根源となった。
精神は1冊の本となり、身体はそのまま残ったのが朝霧静夢である。
そしてアリスに誘拐された彼を助け、クドリャフカが待っているであろう合流地点に向かいながら、葉桜雅は朝霧静夢と出逢った時のことを思い出す。
彼女としては少し恥ずかしい思い出なのだが、自然に笑みがこぼれる。
朝霧静夢は自殺をしようとしていたのだ。
そして私はうっかり魔法使いとばれたのだ。
二人とも、運の尽き。
でも大事な約束もできた。
彼はその約束を覚えてはいないだろうが、私にとっては大事な約束なのだ。
だからこうして彼を助ける。
だってそういうものじゃない。

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