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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 48



アリスの槍、エクシーヴァ。
破壊神シヴァを超えるほど強くという願いを込められたその名前は、アリスという主人に出逢うことで更に磨きがかかった。
槍単体としても申し分の無い素晴らしさだが、この槍には1つ効果が付いている。
それは、魔法を無効化する能力。
綺羅綺羅世界と同質の、魔法世界にとって反則とも言える能力だ。
だから、アリスは槍で相手の魔法を消すことができる。
どんな大魔法…例え四大魔法だとしても「形」があるものならば、槍で消すことができる。

状況としては青空美空が優勢だった。
青空美空の蒼炎の温度は一瞬であらゆる物を灰にする。
もちろんその温度はかなりのものである。
その蒼炎がまずいことはアリスも理解しているからこそ、槍を巧みに使い、迫り来る猛火を消している。
しかし、最初に距離を取ったのはアリスだった。
「随分、距離を取るわねアリス」
「これはまた厄介ですわね……その蒼炎、一体何℃あるのかしら」
「分からないわ、測る前に、全て燃えるんだから」
アリスが距離を取ったのは、単純に暑いからである。
槍で蒼炎を消すこと自体難しくはない。
しかしその蒼炎の熱までは消せない。
結果、その身を焼くほどの熱に距離を取るしか出来なかったのだ。
「これでは近付くこともままならないですわね」
「私としはその槍でまた吹っ飛ばされたくないから、出来れば近付かないで欲しいわね」
「乙女に近付くな、なんて傷付きますわ」
「そんな柔なメンタルしてないでしょ貴女……」
と無駄話をしてる場合ではないのはアリスのほうだった。
「仕方ありませんわね、少し残念ですが、この槍は役立たずになってしまったので壊しちゃいましょう」
バキッ、といきなりアリスは槍を折り始めた。
「なっ……!?」
美空は驚いた表情でアリスが槍を壊す様を見ていた。
自分の武器を壊すということ、しかも二つとない貴重な槍を壊すということ、そしてあの頑丈な槍をあの細腕でバキバキと折っていること、3つの驚きが美空を呆然とさせた。
「はい、破壊完了」
「アリス……どういうこと?」
「どういうことも何も、この槍では貴女に勝てないと思ったので……」
答えになってない、と美空は思ったが逆にチャンスとも思った。
あの槍がなければここでアリスを倒せる、と。
「では第2ラウンド、といきましょう」
そう言い、アリスは指をパチンと鳴らした。

同時に美空は身構えた。
しかしすぐに後悔する。
身構えるのではなく、逃げなくてはならなかった。
武器がない相手に油断をしてしまった。
相手はダブルマイスター、規格外破壊だというのに。


episode 24
「failure -シッパイ-」


番犬を倒した後、クドリャフカは退路の準備をしていた。
アリスが出た以上、今頃ミクがアリスの足止めをし、ミヤビがシズムを連れてくる算段になっている。
もう少しでシズムが来る、という胸の高鳴りは一先ず抑えておいて、今は退路の確保を優先させなければいけない。
「君かな?番犬を倒したというのは」
ふと声を掛けられる。
そこには、長身の優男がいた。
「……誰?」
「ああ、すまない。私はアッシュ。アッシュ・ヨルトセッド。アリスの兄だ」
クドリャフカは警戒レベルを一気にあげ、戦闘態勢に入る。
「血の気の多いお嬢さんだ…その黄緑色の眼はクイーンオブティアーズかい?綺麗な眼だね」
クドリャフカは迷った。
会話もせずに、殺してしまおうか、と。
敵であることは間違いなく、こちらとしては邪魔されたくない場面だ。
一瞬で、息の根を止めるべきでは……?
「まぁまぁ抑えて。君を見に来ただけだクドリャフカくん。魔法世界のアイドルには興味があってね…いや、しかしその名に違わぬ美少女っぷりだ。私の妹と同じくらい」

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