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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 47

重体のクーリャを守るように炎を展開し、真っ先にクーリャに近付き、一旦傷口を焼くことで止血。
しかし、アリスはその姿を見ながらも、クーリャの姿に混乱し、動けなかった私を次の対象にした。
結果、私を庇い、槍の横薙ぎをくらったのは美空だった。
「美空!」
「さようなら…本物の魔女さん♪」
バキバキと骨が砕かれる音と、ドンと壁にめり込むほどに吹っ飛ばされた音がした。
美空もその一撃で動かず、めり込んだ壁からは血が地面へと延びていた。
圧倒的だった。
私の頭だけ真っ白だった。
何が起こっているのか分からなかった。
馬鹿みたいに動けなかった。
「……ぁ…あ…」
「拍子抜けなのです…私が表舞台にいたなら三姫ではなく、私のみの一姫になってたに違いないですわ?」
「一番厄介と聞いていた金髪の子も、一番思慮深い紅眼の子も…大したことないのですね?」
「さてと…それでは朝霧静夢をいただきますわね?」
「さようなら…なにもできないお姫様♪」
番犬が空から天井を壊しながら落ちてきて、静夢を掴みアリスとその場から立ち去った。
私は傷ひとつ、付いていないし、付けられなかった。
そこからの記憶はない。
目を覚ましたのは、それから3ヶ月後。
クーリャも美空も重体だったにも関わらずすぐ目を覚ましたらしい。
何も外傷がない私が、その場でただ気絶し、更に目を覚ましたのも……私が一番最後だった。


容赦ない槍の突きが私の体に穴を開けようとする。
私はそれに対して雷の速さで避ける。
大丈夫、身体は動く。
正直、アリスより私の方が少し速い。
なので避けることができる。
突きだろうが、横薙ぎだろうが、その槍よりも早く動けば当たることはない。
ただ避けることに専念する。
今はまだ悟られるわけにはいかない。
「……ぁ…はぁ…はぁ…くっ…!」
さすがに息が上がる。
すぐ隣にある死を先程から何回もギリギリで回避しているのだ。
頭が先程からおかしくなりそうだ。
魔法で自分の電気信号を高速化し、脳や筋肉の処理や動作を早くしているとはいえ、もはや人間の身体にとっては負担が生じる状態になっている。
あまり長い時間やれることではない。
「そろそろ限界なのではなくて?」
悔しいがアリスの言う通りだ。
更に悔しいのは、アリスはまだひとつも息があがっていない。
私ではまだ勝てない……。
だから残りの魔力は、私が逃げるために使わなければいけない。
「限界?冗談!追い詰められているのは貴女のほうよ!」
そう―
ポイントまでは誘きだした。
後は任せたわよ!執行人さん!
突如出た蒼い炎にアリスは包まれた。
「なんですの?」
槍を振り回し、その風圧で自身を包む炎を消火する。
「ちっ……」
アリスが炎を消す頃には、葉桜雅も朝霧静夢もいなくなっていたのだ。
そこには、紅の眼を光らせた蒼炎の女王がいた。


「あら、ミクではないですか?」
「久しぶりね」
「ええ、私が壊してしまった骨は大丈夫だったかしら?」
「おかげさまで」
「それは良かったですわ?私、貴女達を壊し過ぎて…
ボウッ!
蒼炎がアリスの真横を通りすぎる。
髪の毛を少し掠めた、独特の焦げた臭いがした。
「アリス、私…貴女とお喋りをしたわけではないの」
「あら残念…『積もる話』があるのではなくて?」
「……そうね。貴女とは昔のように一回夜通し話したいところだけども、それよりも私は私のこの炎を止められない」
手からは蒼い炎が溢れる。
今先にとアリスへ向かわんとしている。
「そうですの…分かりましたわ?私としては貴女を放っておいて静夢を探しにいきたいところだけども、昔のよしみです…出る杭は…叩きのめしておきましょう」
槍が構えられる。
あの槍がもうすっかりと癒えたはずの傷をジクジクと痛ませる。
「いきわすわよ?蒼炎の執行人(ブルーエクスキューショナー)?」
「いつでも、規格外破壊(イレギュラーデストラクション)」

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