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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 43

あとスカートがめくれあがったんだけど。
「というか、私を目の前にしてスルーするなんて本当に男?」
ありえない。私は姫なのよ?
躾が必要らしいのでまずは連れ戻しましょう。
もう既にだいぶ離れた番犬を睨む。
さすが巨人。歩幅が違うのかあっという間に離れてしまった。
もう何秒かでミヤビに届いてしまいそうだ。
そうなったらミヤビが後でうるさいので、駆け抜ける巨人の前に白い水の膜を張る。
「!?」
物質は大きくなればなるほどに動作を止めることが難しくなる。
慣性の法則、どったかしら?
巨人は突然目の前に現れた白い壁に驚きながらも、その身を止めることができずに白い壁に激突した。
いや、正確には白い水の膜を通り抜けた。
「おかえりなさい、番犬さん」
「!?」
何百mの距離を一瞬にして戻される気分はどうかしら。
私の水の膜(ゲート)は離れた場所でも一瞬で辿り着く。
「ねぇ番犬さん、見逃してくれないかしら?」
「ならぬ!小娘だと思って無視したが…まずは貴様が先のようだ」
ようやく番犬の敵意が私に向く。
そうそう。
味方だろうが、敵だろうが、ファンだろうが男だったら私に注目してなさい。
「うがぁぁ!」
巨人の豪腕が私の身体を抉る。
普通の女の子ならば、見るに耐えない肉塊となっていただろう。
でも私は水の加護がある。
結果、豪腕は私の形をした水を殴るだけで、ちっとも私自身にダメージを与えていなかった。
昔、水道から出る水は鋏で切れるか試したことある?
あんな感じ、結果は分かるわよね?
その後、数回殴られるも結果は同じ。
「無理よ、私には触れられないわ」
「うぬ…」
「早く2つめの顔を出しなさい?」
「この小娘が…!」
この巨人が『番犬』と呼ばれるようになった理由は2つある。
1つめは朝霧静夢に触れるものを皆、蹴散らしてきたから。まるで主を守る番犬のようだと呼ばれた。
もう1つは三つ首の犬、地獄の番犬・ケロベロスから来ている。
別に犬になるわけではなく、この巨人の能力が3段階あることによる。
1つめは『剛力』。
すべての障害を、己の身体で打ち砕く。
そして、私は今ようやく2つめの顔を引きずり出した。
2つめは『破魔』。
すべての魔法を、己の身体で説き伏せる。
ワンダーちゃんびっくりの魔法無効化能力。
といっても完全に無効化はできないらしく、触れたものの魔法効果を無効にする、というもの。
だとしてもだ、私の自身の身体を水にする魔法は封じられたのである。
同じようにしていたら破魔で無効化され、剛力で殴られる…というか殺されるだろう。
あんなの1発もくらいたくない。
「ふん!」
番犬はその豪腕を私に向けた。
幸いなところは、そこまでスピードが速くないこと。
私は水の膜を隣に展開し、それに入ることで番犬の後ろに瞬間移動した。
空を切る番犬の豪腕。
ただの空振りだと言うのに風が巻き上がる。
「…避けたのか」
「そんな遅い攻撃じゃ小娘一人も倒せないんじゃなくて?」
「なんだと?」
明らかに敵意を私に向ける。
そう…そうでなくては困るのだ。
今の状態で冷静になられるのは困る。
だって、破魔がある状態で逃げられたら魔法で止めることができない。
私の役目は時間稼ぎ。
ここで番犬をミヤビのところへ行かせてしまうことが、一番あってはならない事態。
「吠えるな小娘…貴様に何ができる?」
「なんでもできるわよ。貴方を倒すなんてわけないわ?」
「ぶっ殺す!!」
殺す、殺す、殺してやる!
番犬の憤怒が見えるようだ。
それでいい。

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