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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 39

玩具箱は…何を考えているのか…。
しかし、神は…
「世界は壊れん」
と一言だけ呟いた。
「はぁ?どういうことだよそれ?」
いい気分に泥を塗られたのか、狂血鬼が食って掛かる。
「世界は壊れない、と言ったんだ。朝霧静夢がいるからな」
その、名前に目を丸くしたのは狂血鬼だけではなく、玩具箱も、そして私もだった。
「シズムがどうしたんだよ?」
「ふっ…それ以上は言えないな。だがな世界は朝霧静夢によりその存在を留める。さぁて今度はこちらの番だな」
そう言うと神はニヤリと笑い魔法を詠唱した。
「運命」
噂では、神は4つの大魔法を使うと聞く。
運命、神秘、快楽、秩序。
そのうちの一つ、運命が詠唱された。
当然、狂血鬼も電波妖精も玩具箱もその魔法を警戒していた。
先程の戦いでは出してこなかったのでただの噂かと思っていたが、噂ではなかったようだ。
「気になって朝霧静夢のところに行きたいだろう?さっきと逆転だ。だがな、行かせねーよ」
「だとコルァ!」
狂血鬼がその身を一瞬で最高速まで跳ね上がらせ、神を通り過ぎようとした。
「だとコルァ!」
狂血鬼は元の位置に戻されていた。
それだけではなく、幾度と同じ行動を繰り返していた。
まるで映像の同じ場所だけを何回も繰返し見せられているかのようだ。
「だとコルァ!」
「だとコルァ!」
「うるせーなぁ…じゃ次は誰がこうなりたい?お前らの運命、握らせてもらう」
こうして思い知らされる。
この神という存在は、人間が手を出してはいけない領域だったのだと。
しかし、神の魔法が猛威を奮うかと思われたその瞬間、魔法世界の振動が止まったのだ。
ポツリ、始まったな、と神が誰かに謝るような顔をしていたのを私は見逃さなかった。


「ちょっとぉ!なんでこんなことになってるのよっ!」
雅が寝起きにも関わらずテンションが高い。
しかし、それも無理ないと思う。
世界が壊れるから準備して、とクーリャに言われたのが30分前。
寝起きだった私、青空美空と雅は首をかしげた。
しかし、この世界の振動は地震なんてない魔法世界には、崩壊を知らせる警告なのかもしれない。
それにしても準備と言われても何をすればいいのか。
女の子はいろいろ必要なのである。
そこを考慮なんてもちろんしてくれないのだけど、メイクする時間もほぼ無しである。
まぁ、世界の崩壊の前には何も意味がないのかもしれないけども。
「クーリャ!なんでこんなことになってるのよ!」
「アイマが壊された。それだけ」
「説明になってない!なんでっ…!」
雅が言うことはもっともだ。
なんで自分達が寝てる間にアイマが壊されているのか。
なんで、自分を起こしてくれなかったのか。
私だって不満に思ってる…けど、そこまで私は子供みたいに喚きたくない。
「美空!アンタもなんか言いなさいよ!」
「…………………」
だって、きっと足手まといだったから。
ま、それは置いといて魔法世界の崩壊を前に何をやってるのかというと、私達はある人物を探しているのだ。
朝霧静夢、しーくん、世界の著者となれる孤独迷子。
どうやらいきなり現れた悪夢蘇生と同じくいなくなったらしいけど…それから間もなく世界が振動を始めた。
ワンダフルワールドが言うには世界の崩壊の合図らしい。
その後、ワンダフルワールドは魔法世界に残った人達の救出に向かった。
救出と言っても、現実世界へと逃がすことしかできないらしい。
それも間に合うかどうか分からないと言うが、今はまず動くしかない。
そして私達、三姫は朝霧静夢を探していた。
どうやら、全てのキーはしーくんにあるらしい。
「ったく、あの馬鹿!なんとかしなさいよねっ!」
「ミヤビ、うるさい。シズムだってできないのに貴女に言う資格はないわ」
「…っ…!!分かってるわよ!」
雅はそのイライラを撒き散らすかのように悪態をついている。
今にもバチバチと電気が走りそうだ。
「しーくん……」
ふいに名前を呼んでいた。
昔から朝霧静夢を知っている私には、正直辛い。
彼は一人では弱すぎる子なのだ。
誰からも迫害され、全てから逃げてきた男の子だ。
私が守ってあげなければいけないと思っていたのに、こんな大事なときに私は寝てたなんて正直自分を殺したくなる。
しかも、今回はさらに酷い。
彼は世界の存続のキーになっているらしい。
ということは、この崩壊も彼の選択によるものなのだろう。
だとしたら、彼は今どんな気持ちでいるのだろう。
私には彼が自殺しててもおかしくないのではと思っている。
彼の気持ちを考えると、正直いてもたってもいられないのだ。
「しーくん…!!?」
そして、私の二度目の呟きの瞬間、世界はその振動を止めたのである。
「止まった?」

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