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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 38

「よろしい。えとね?このままだと魔法世界が崩壊しちゃうの。それは止められない。このままだと魔法世界にいる人達は全滅しちゃう」
「全滅っ!?」
「ええ。だからこの魔法を使って?」
彼女は両手で僕の手を握った。
突如、彼女から暖かいものが自分のなかに流れてきた。
「魔法…リアルオブザワールド。この世界の始まりの魔法」
「リアルオブザワールド…」
「ええ、貴方も朝霧の姓なら使えるはずよ?」
不思議なことに、全然知らない魔法なのに昔から知っていたかのような魔法だ。
「それを唱えて。そうすれば魔法世界は壊れない。ただ…」
彼女は言いづらそうに目を伏せた。
そうなのだ。
この魔法は人々を幸せにする魔法だ。
自分と引き換えに。
「僕が…アイマになるのか」
「……うん。貴方の場合はシズムという本になるのかな?」
あは、と気丈に見せているがどこか影がある笑顔だった。
「そうか…やっぱりそういうことなのか…」
「うん。ごめんね?でも、本当にこうするしかなくてっ…」
「いや、いいよ。そもそも僕のせいでこうなったのだから。あと、なんとなくだけど、こんな未来になるんじゃないかって思ってた」
「私は失敗しちゃったから、貴方はうまく世界を作ってね?…さてと、私がここにいられるのももう限界」
愛真の体が薄くなる。
彼女は最後に笑ってこう言った。
「大丈夫。だって貴方は誰よりも一人だったから、貴方は誰よりも優しさを知ってるはず!優しい世界を作ってね!」
愛真は消えた。
彼女の笑顔が心に残る。
世界は愛真がいなくなった途端にまた崩壊へと進み始めた。
「さてと…」
正直、いきなりこんなん渡されても困る。
ただ、こればかりは本当に自分にしか出来ないことらしい。
魔法世界の人間全てと僕の命、天秤にかけるまでもない。
目を閉じる。
今までの風景がフラッシュバックする。
大丈夫、孤独なのはいつもじゃないか。
ただ、溶けるように、世界の一部になるだけだ。
「魔法…」
唱える瞬間、つうっと頬に何かが伝う。
そして僕はようやく気付く。
頭の中に思い浮かぶのは、仲間の姿だった。
僕は、本当は、悲しいんだ。
「リアルオブザワールド」

意識は途切れる。
ここで僕の物語は幕を閉じる。


episode 21
「results -セカイノオワリ-」


「ははっ!最高じゃんか!」
狂血鬼は声高らかに叫んだ。
どうやら、魔法世界が本当の自由というものを手にしたようだ。
その結果、魔法世界は崩壊の一途を辿ってる。
「なぁ神ォ!これで、全て終わるんだろう!」
神は答えなかった。
度重なる魔法の妨害によりすっかり疲弊しているのか、ただ何も言えないだけなのかは分からない。
魔法協会の本拠地へと戻ろうとする神を狂血鬼、電波妖精、玩具箱…そして私、悲恋主義者で妨害し始めてから3時間。
どうやら悪夢蘇生はアイマを壊すという目標を達成したようだ。
これで全て、終わる。
束縛された未来からの脱却。
この魔法世界がなくなるのであれば、それも致し方無し。
ならば現実世界で自由を手に入れる、と言い切った狂血鬼の言った通りになる。
「ハハッ!これで…本当の人殺しができる…」
狂った吸血鬼という名に偽りはない。
あの吸血鬼は本当に狂っているのだ。
電波妖精は世界などに興味ないのか、また自らの殻に籠り始めた。

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