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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 31

世界に混乱が起きたとき、その混乱を回避するための裏技を用意していた。
それが僕の一族らしい。
まるで神のような偉業。
そしてそれは、永年秘匿とされてきた禁忌の魔法。
使ってはいけない魔法。
それが僕の魔法だった。
「ふん、いいか?お前がこの本の存在、この世界の在り方をどう思ってるかは知らん。ただ、仕組みを変えれるとするならばお前だけだ。だからこの真実を教えた」

「孤独に迷え」

神はその言葉を最後に何も語らなくなった。
いつの間にか、凄い遠いところまで来てしまった気がする。
学校でいじめられていた時が懐かしく思える。
その、いつも通りの日常に戻れるのかは一旦置いておいて、言っておかなきゃいけない台詞があった。
「逃げられない、ってことか」
呟いた言霊は儚く消える。
あの白い本を僕は睨み付けた。
僕の覚悟もアイマに書いてあるのだろうか。


『アイマ』がある部屋から離れると、神は
「ちょーめんどくさいけど、世界の混乱を鎮める準備をしてくる」
なんてかっこいいことを言いながら目の前から消えた。
今やもう魔法世界は完全に浮き足立っている。
『アイマ』という存在が明るみになったことで、各地でデモのような暴動も起き始め、怪我人なども出ているらしい。
まさに世界の混乱。
あの教会で受けた傷は完治しているが、感覚だけ鈍く痛む。
あそこでクレスを止めていれば、こんなことにならなかったのに、と。
なにが未来を変える魔法だ。
「なに、難しい顔してるの?」
「え…」
「やっほ、しーくん♪身体は大丈夫?」
「美空ねぇ…」
気がつくと、美空ねぇが後ろについて歩いていた。
いや、なんで後ろにいたのに表情が分かるのかとかは怖いので聞きたくない。
「いや、私だけあまり助けてあげられなかったから…」
「あ、いや…そんなことないって。ほら、もう身体も大丈夫だし」
「そう?ならいいんだけど…」
「で、なんで抱き締めるの!?」
「いやほら、おねぇちゃんとしては弟くんが心配なのです♪」
「うあ…いや…それはほら…だ、大丈夫だからっ」
昔はよく抱き締められては、いじめられたことを慰めてもらっていたが、今この年でやられるのはさすがにドキドキしてしまう。
「ふむ、しーくん、さてはおねぇちゃんに抱き締められてドキドキしてるね?」
「なっ…心を読まないでよ!」
あと強く抱き締めないで!
胸が当たってるから!
あと黙っていたけど、クーリャがさっきから見てるから!
凄い眼を緑色に光らせてるから!
「み、美空ねぇ…あの…クーリャがいるんだけど…」
「私はいないものだと思いなさい?さ、続けて?」
何を!?
と、思っていると美空ねぇのほうから離れた。
「クーリャ、覗き見なんて趣味が悪いんじゃない?ご自慢の碧眼が泣いてるわよ?」
「いえいえ、ミスクリムゾン。貴女がそこまで積極的な女性だと思っていなかったわ?私に気にせずチューでもしてあげたら?」
「私だって時と場所は弁えます。そしてその呼び名はやめてくれない?もしそう呼ぶなら私も貴女をプラチナエメラルドって呼ぶわよ」
「それ、絶望的にダサいから。なら貴女はルビーサファイアかしら。ルビサファよルビサファ」
そうでした。
この二人、火と水でした。
相性が悪いってもんじゃない。
「こっの…相変わらず生意気ね。どうせだったら実力で白黒つける?私は構わないわよ?」
「へぇ…大きくでたわねミク。実力差を分からない貴女じゃないでしょ?」
「前の私と思ってもらっちゃ困るわね」
「それは楽しみね…」
「ちょ、ちょっと待った!」

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