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マジカルガールロンリーボーイ
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マジカルガールロンリーボーイ 30

吹っ飛ばされながらも空中でワールドイズマインを実行。
この後、僕は壁に打ち付けられるだろうが、その未来を変更。
瞬間移動し、決定されし未来は吸血鬼の消滅のみ。
クレスの後ろを完全に取り、ワールドエンドの初動作に入った。
しかし、完全に後ろを取ったつもりが、目の前のクレスは消えていた。

「舐めるなよ人間」

僕はまた吹っ飛ばされていた。
完全に後ろを取ったつもりが、逆に後ろを取られていた。
それは僕の未来より、クレスの動作のほうが速いということか!!
「が……!?」
胃から逆流するのは苦い血の味と、胃酸の味。
目の前が反転するほどの衝撃を受けた。
どうやら教会の長椅子を何個か壊しながら吹っ飛ばされたらしい。
痛みが身体のエマージェンシーを叫ぶ。
これ以上は壊れてしまう、と。
「ワールドイズマインはお前の父親の、ワールドエンドはお前の母親の魔法だった。それが俺に効くわけないだろうが。そのどちらも俺は既に見て、感じ、超え、蹴散らしてきた」
クレスは興味無さげに僕を見た。
血だらけの僕は立ち上がることもままならない。
「『アイマ』を操る一族がいたと知ってな。実際訪ねてみたら、ビックリ本当に操っているんだよ。村全体で要塞みたいに隠していたがな。所詮は村だ。一夜で終わったよ」
カツカツとクレスは教会の出口へと進む。
「また会おうぜシズム。次は殺してしまうかもしれないから、気を付けてこいよ孤独迷子」
またも黒い靄になり消えるクレスを見届けるのと、僕の意識が消えるのは同時だった。



僕が意識を取り戻したのは、またもベッドの上だった。
「起きたか、孤独迷子」
横を見ると、いつぞやの生意気な子供がいた。
「君は…いや、貴方が神(ゴッド)なのですね?」
「へぇ、冴えないのは顔だけか」
一言多い。
「赤音を、消しただろ。ワールドエンドを使ったのか?」
「はい…すみません…」
「いや、いい。赤音もあちら側の人間になっていただろうからな」
椅子に座ると本当に小学生のようだ。
しかし、その容姿と似合わない雰囲気を漂わせている。
「4時間前な、魔法世界で魔力による音声電波が流された」
「音声電波、ですか」
「ああ。内容はこう。世界の『アイマ』からの脱却。真実の自由への到達。狂血鬼含めた5人のダブルマイスターが敵となった」
魔法世界に衝撃が走った。
まずは絶対悪とされていた狂血鬼の逃亡、そしてその企て。
そしてダブルマイスターの反乱。
そこにはあの永久乃童子もいるらしい。
「こっちとしてはな…誰が敵になろうが関係ないが、『アイマ』を壊されるのは困る」
「『アイマ』は本当にあるのですか?」
「見たいか?」
頷くと、ついてこい、と言われ僕は神についていった。
どれくらい下がるのだろうと思うくらい階段を下りた後、迷路のような廊下を抜け、100体の銅像の攻撃を避け、不思議なドアを開けると、大きく真っ白な部屋があった。
その部屋は床がなく。
大きい白い本が開いた状態で浮いていた。
「あれがこの魔法世界の歴史であり未来でもあるアイマだ。おっと…近づこうとするんじゃないぞ?この部屋は恐らく魔法世界の中で一番物騒だ」
「あれが…」
「まぁあれの中身をいじくりまわしてるのだから、お前のノートブックかなにかと思え」
さすがに世界の物語をノートブックに例えることはどうかと思う。
「ま、実際、アイマは存在する。そしてさらに言えば、あの本は本当に魔法世界のありとあらゆるが書かれている。だからな…あのバカコウモリが言ってることは全て当たってるんだよ。この本がある限り、自由ではない」
魔法世界という既決された世界、と神は続けた。
確かにこの本に、例えば朝霧静夢が明日死ぬと書かれているならば死ぬのだろう。
クレスはそれが嫌なんだ。
決められた世界。
決められた未来。
束縛された環境の中の自由は、果たして自由と言えるのだろうか。
「この本がある限り、未来は全て決定されたモノである。だがな、逆にこれのおかげでこの世界の秩序は保たれている。あのバカコウモリがアイマを壊したところで、待っているのは本当の自由なのか…秩序の混乱なのかな…やってみなきゃ分からん」
「神…ひとついいですか?」
「許可する」
「なぜ…僕にこの真実を教えてくれたのですか?」
「お前はこの世界で唯一、この縛りから外された人間だからだよ。悪いが俺でさえこの本をどうこうすることができん」
それはこのアイマを作った大昔の話。

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